イシノラボ/マスターズ店長の連載

第2弾 オーディオアンプ講座

第6章 電源部 - インバーターを採用したDC/AC電源について

最近、災害による停電対策として、バッテリーによって交流電源を供給することが注目を浴びています。
具体的には、高性能バッテリー(リチウム)を電源として、PWM制御して、ACを作り出します。
そのデバイスはMOSFETやIGBTが採用されます。特に電車のように大電流が流れるときにはIGBTが使われます。

話題がそれますが、近年の電車は昔のようにDCモーターではなく、交流モーターで動きます。
スピードを速くするには、上記のようなインバーターで交流周波数を早めれば、モーターの回転は早くなります。
ちなみに、昔の電車モーターはDCモーター(工作の時間に作ったブラシ付きモーター)です。

DC/AC変換効率はDクラスアンプの最高効率の状態とほぼ同じような効率(90%くらい)を示します。

インバーターの電磁波ノイズ

ピュアオーディオにとって残念なのは、インバーターの電磁波ノイズです。

インバーターは高速ON/OFF(これをスイッチング)PWM動作すると、電磁波ノイズが発生します。
その大きさは「i=C・dv/dt」になりますから、スイッチング周波数に関係します。
これらのノイズの周波数帯は、数十MHzにわたり、AMラジオ・工場無線・電話などの通信機器に影響を与えることがあります。

そもそも、電磁波ノイズは伝導ノイズ・電磁誘導ノイズ・静電誘導ノイズ・放射ノイズと分類されます。

伝導ノイズ

電源電流、さらにシールドケーブルやアースを通じて、他の機器に電磁波ノイズを与えてしまいます。

電磁誘導ノイズ/静電誘導ノイズ

機器をインバーターに近づけると電磁波ノイズが誘起されてしまいます。

放射ノイズ

インバーター電源やアースが高周波アンテナとなって、機器に電磁波ノイズが飛び込みます。

防止方法のいろいろ

PWM制御を使っているので、Dクラスアンプと同じような対策をすると、効果があります。

いずれにしても、自主規制値があり、パスして発売されていますが、ピュアオーディオのように微視的な視点で気にすると、気になります。気にならない方には有効な機器です。
これらは、けっこうなお値段がするものですから、バッテリー動作アンプにバッテリーをダイレクトに接続して、楽しむことをお勧めします。

2019年12月10日掲載