私事で恐縮です。先週、アメリカ・NJ在住(永住権取得)の35年来の仲間、I・Fさんが1.5年ぶりに来日し、秋葉原で会いました。
お互い、年だな!という挨拶はそこそこに、モノ作りの意味はどうなんだろう?という話になりました。
私は、“アメリカの産業は何があるの?”と問うたところ、複雑な顔つきで、“車かな?”と、言うので、“アメ車の占有率は?”と聞くと、“40%くらいかな?”、続けて、“最近はヒュンダイ(現代自動車)が10万マイル保証!ということで、売れ行きを伸ばしている。もちろん、日本車はトップであるけど、米国製”。
“次は、軍需産業、飛行機あたりか!”、第2次産業としては、アメリカは相当沈下しています。一時、金融工学!がもてはやされましたが、リーマンショックで吹っ飛びました!
いつまで経ってもアメリカの失業率は下がりません。それに、アメリカは貧乏人を助けるという気風はありません。自己責任の世界です。(特に共和党)
やはり、ものを作ることは雇用を生み出します。また、いくら製造マニュアルを整備しても、作らないと製造のノウハウは得られません。
ちなみに、“真空管アンプ製作でも、参考書籍だけでは微妙なポイントについてもノウハウも得られません”。
更に、作ることを重ねて、実績、経験、知恵、発展が生まれてきます。
アメリカの“シリコンバレーは健在!”と、I・Fさんは言いますが、開発・試作までで、製造は中国中心です。製造業が無ければ、開発、設計人材の雇用は生まれますが、製造者雇用は生まれせん。MACやウォールマートの店員の仕事のような販売労働になって、失業率は改善しません。
翻って、30年前のアメリカでは、オーディオではスピーカ組立ライン、アンプの製造ラインは残っていました。
そのような、あとを追っているのが日本です。近い将来(10年以内)、国力はインド、ブラジルに抜かれるかも知れません。
サムソン、ヒュンダイの韓国勢にしても、同じような傾向はウォン安が退潮すれば、同じように衰退傾向になるでしょう。
市場経済の原則から言えば、同じような仕様、性能ならば、安いところが繁栄します。
かつての日本は、そのような生産地を求めて、経営者は、1970年代は国内の労働力の安いところ(東北、長野、北海道、九州など)に生産拠点を移し、採算を取ってきました。
1970年代~1980年代の日本のオーディオ界はそうでした。そうすることによって、地方の経済、雇用が成り立っていました。
ところが円高になると、相対的に、労務費は海外の発展途上国に比べ割高になり、経営が厳しくなってきました。
私が在籍していたサンスイも同様です。まずは、1980年代、台湾企業と提携して、海外生産をスタートしましたが、うまくいかず、ついにサンスイは海外資本によって経営権を失いました。それから30年後、完全にサンスイブランドは消滅しました。
話を戻して、具体的な話として、1990年代まで、アメリカ在住の友人経由で、アメリカのトランス会社にトランスを作って貰っていましたが、経営が厳しくなり、また、設計・製作するエンジニア、職人が老齢化して、その会社は消滅してしまいました。
いっとき、アメリカ人は“BY アメリカン”ということを重視していました。けれども、ものが作れなくなり、作れるのは軍需、飛行機くらいになってしまい、ドル安になっても景気は上昇しないし、雇用は改善しません。
一歩退いて、価格が勝負の家電、アパレルはある程度の海外生産はやむをえませんが、趣味製品、グレードを気にする製品、先端技術製品は、やはり自国で頑張るべきでしょう。
最近の中国事情を中国で働いている日本人の友人に聞くと、中には意欲のある優秀な方がいて、結果として、製品レベルは非常にアップしてきており、長くない将来、自分は解雇され、帰国する結果になるだろうと言っておりました。
オーディオに関しては、ピュア・オーディオビジネスで、今や国内資本で国内生産で頑張っているのはアキュフェーズだけと言えましょう。(フォステックスにしても、開発は国内ですが生産は全部中国です。)ヨーロッパのオーディオ製品も中国生産が激増しています。
自分の思い込みとして、イシノラボ/マスターズのような零細規模の会社は、他にないユニークさを持って、お客さんのニーズとこちらの開発シーズとがうまくコラボすれば、ユニークなピュア・オーディオ機器が生まれるでしょう。
50年来の盟友、川西さんの主宰するWestRiver(ウエストリバーアンプ)もそうあるべきと思っております。
マスターズはそうして、製作は国内、ハンドクラフトで頑張ります。
国内、国内生産で頑張っているブランドは、エアータイト,テクニカル・ブレーン,マックトーン,オーディオノート,ブリッジオーディオ,サン・オーディオ,オーディオ・テクネ,ソウル・ノート,ダイナベクター,協同電子,ハーモニクス,ゾノトーン,レーベン等々あります。できれば、買い易い価格で、ずっと継続してほしいと願うものです。
今回のブログは具体性に乏しく申し訳ありませんが、中国(西安)で働いている友人に先週TELしたところ、西安のデモは暴徒化して、自宅待機ということを聞いて、上述の状況だけでなく、カントリー・リスクをも考慮しなくてはと思うようになりました。
若い方は、“いまさら、モノつくり!”と言われるのも充分承知しますが、それならば、願わくば、世界に誇れる“アニメ産業”、“ゲーム産業”では、絶対、国内製作・生産で頑張って貰いたいです。
まとまりがなくて、すみません!