2000年以前のプリメインアンプ、プリアンプには必ずバランスボリュームがついていました。
また、現在でもバランスボリューム付きのメーカー製アンプは多く見かけます。
マスターズアンプも当初、バランスボリュームを設置していましたが、ユーザーの方々から、バランスボリュームは使わないから削除しても良いという意見が寄せられ、現時点では付けていないです。
カスタムでご希望の方には対応しています。また、バランスボリューム自体、安価に販売しております。オーディオ部品専門店では、バランスボリュームは取り扱っていないお店が多いです。
秋葉原・門田無線ではアルプス27型ボリュームでMN型が販売されています(¥1,210)。これがバランスボリュームに該当します。
このようなボリュームインピーダンスは250kΩが標準的に使用されるので、センター位置付近での使用で、音質的に悪影響を与えることはまったくありません。
プリメインアンプ、プリアンプのブロックダイアグラム
図1に示すように、入力信号は入力セレクタースイッチで選択され、バランスボリュームに入力されます。
1960年代にはバランスボリュームは2連(Bカーブ)が採用されました。
そうなると、12時(真ん中)の位置で、L/Rの出力が合います。
けれども、バランスボリュームによる電圧減衰は半分(6dB)になってしまいます。これでは、せっかくの入力信号が小さくなってしまいます。
そこで、図2に示すような12時の位置まで、出力が落ちないボリュームカーブが考えられました。そうすると、12時位置の電圧減衰は無くなります。
バランスボリュームを右に回せば、Rch出力は落ちず一定で、Lch出力が落ちていき、相対的にRchの出力が大きくなったような感じで、L/Rバランスが調節できます。左に回せば、Lch出力は落ちず一定で、Rch出力が落ちていき、相対的にLchの出力が大きくなったような感じで、L/Rバランスが調節できます。
そうして、バランスボリュームの出力はマスターボリウムに導かれ(通常、2連ボリューム(Aカーブ))、アンプ全体の音量が調整できます。
イシノラボでは、標準仕様はバランスボリュームを削除しておりますが、リスニングルームの状態等で、L/Rのバランス調整が必要な方はカスタムで対応しております。
【図1】一般的なプリアンプのブロックダイアグラム
【図2】バランスボリュームの接続法
“スピーカーとアンプとの相性はあるのか!?”
この課題は、いまだに解明されないテーマです。
それがオーディオ趣味を、楽しく、やりがいあるものにしているのでしょう。
オーディオ誌はブランドホルダーに忖度するせいか、差のつきにくい採点とか、傾向を図で示すとかになっていて、結局、どうなっているのかが分かりにくい結論となっています。
そうして、スピーカーとの相性については、私のところにもご質問をいただくことが多い状況です。
好む音楽ジャンルもあり、一概に言い切ることは難しいですが、それなりの傾向からアドバイスしているところです。
ステレオ誌・最新号記事による相性レポートを読み取り、皆様の参考になればと記述します。
テスターは山本氏です。
ヒアリングに使うスピーカーはエボズES14N(ドイツ製)。
聴き比べするアンプは4機種。
- デノン PMA-600N(現行品)(2019年発売)¥6.49万
- サンスイ AU-α707(1986年発売)¥12.9万
- LUX L505f(2001年発売)¥21.78万
- アキュフェーズ E-380(現行品)(2019年発売)¥52.8万
デノン PMA-600N(現行品)(2019年発売)¥6.49万
廉価アンプですが、充分、音源を鳴らしきるような感触のようです。
サンスイ AU-α707(1986年発売)¥12.9万
堂々としたサウンドで、音源の凄さ・ゴージャズさを余すことなく表現。
文句なしとあります。
LUX L505f(2001年発売)¥21.78万
中庸で音像定位が明確。中庸で良いとあります。
アキュフェーズ E-380(現行品)(2019年発売)¥52.8万
ワイドレンジ、サウンドステージが広い、音が薄く、スピーカーとはマッチングしていないとあります。
テスターの方はあまり紙面に登場していない方で、それだけにメーカーに忖度していない素直な感想を記した興味ある記事と思います。
アンプは高価なら良いとか、新しいから良いとは限らない本当のことを述べた記事と思います。
なお、音楽ジャンルについては、
- クラシック音楽は音階感のあるもの
- ジャズは半音階が多いもの
- 歌謡曲は5音階の演歌に近いもの
と考えれば良いでしょう。
半導体アンプの電源ON/OFF時のショックノイズの原因について、解説します
通常、半導体アンプは+電源とー電源で動作します。
例えば、+30V、0V、-30Vで設計したアンプを電源ONすると、+電源と-電源とが時間をずれて立ち上がります。
仮に、+30Vに0.8秒、-30Vに0.5秒とすると、その差0.8秒-0.5秒=0.3秒間、±電源がアンプに掛かる電源電圧がアンバランスになりますので、NFBによって出力0Vにしようとしても、間に合いません。パワーアンプなら、大きなショック音がスピーカーから出ます。
この現象は、主に初段回路の+、-電源の立ち上がりの時間差が主な原因です。オシロスコープでその様子を観測すると、はっきり分かります。
この現象を防ぐ意味で、音質には良くないですが遅延リレーを付けて、0.3秒以上経ったら、SPに接続されるようにします。
アキュフェーズのアンプも原理は同じですが、リレーの代わりにMOSFETをリレー代わりにして、遅延回路で遅らせて、スピーカーに接続させています。
いわば、必要悪なのです。
マスターズのZバランス回路、Xカレント回路は±電源電圧が電源ON時、時間のずれがなく立ち上がるように設計しているので、理論的にショック音が出ません。
具体的には、初段回路をコンプリメンタリー上下対称差動回路で構成しているからです。
仮に発生するとしたら、初段回路での立ち上がりのわずかな時間差が原因ですが、「プチ」と小さいショック音です。
その発生電圧は小さく、短時間なので、スピーカーには悪影響を与えることはありません。
ちなみに、真空管アンプは立ち上がりにおいてノイズが出るはずですが、立ち上がりがゆっくりしているので気にならず、また、スピーカーに悪影響を与えることもありません。
但し、気になさる方には、スピーカー出力回路にON/OFFスイッチを付けて、マニュルでおこなうか、遅延リレーを付けて、解消することもおこなっています。
また、回路抵抗のわずかな誤差がないように、0.1%レベルで、初段デバイスを選択して調整することもあります。