8月23日のブログで“MASTERS CA-225/APIシリーズ”の完成をお知らせ致しました。ご注文されたSさんより、一昨日お電話をいただき、大変満足されているとのことです。ピュアで濁りのないサウンドで、特に、これまでピアノの再生においてどうしてもリアル感が足らず不満であったところが、“立ち上がりがすばらしく、消え入るサウンド”、“ぺタルの使い方などが聴こえるようになった”とうれしいご報告をいただきました。
パワーアンプとはバランス接続で聴いているが、これがまた素晴らしいとのことです。
このご報告から推測しますと、電源部の構成はやはり重要です。特に、高周波までインピーダンス特性が優秀なフィルムコンの効果があったと思います。
また、残留ノイズ14μVという超ローノイズ性能も効果があったと思います。とりあえず、皆様にご報告致します。
<追記>
特別ご提供品の、ケミコンレス・MCヘッドアンプ搭載フォノイコライザ“MASTERS PH-2014”をお買い上げいただいたTさんからも、“切れ味良好”、“透明感が最高”とのご報告をいただきました。“MCトランスよりも反応が良いのでは!”というご報告もいただきました。
今年の6月に発売開始したケミコンレスプリアンプ“MASTERS CA-225/APIシリーズ”について、6月27日のブログでもご紹介しました。
その後、是非作って欲しいとのオーダーをいただいていましたが、なかなか製作スタートできずお待たせ致しておりました。先週にやっと音が出て、エージングを兼ねて、実使用上の不具合がないかの動作試験を続けて参りました。
今回は、注文いただいた方が、設置スペース的に横長スタイルでないと置けないとのことで、これまでのBA-225スタイルと異なる、どちらかというとノーマルなフォルムになりました。
前回のレポートの試作機はアンバランス(ノーマル)回路方式であったので、バランス対応パワーアンプには接続できませんでした。
このたびはフルバランス回路方式です。
ラインアンプは2個×2=4個を搭載しており、バランス入出力・バランス増幅方式になっております。また、内部にバランス変換回路を搭載しているので、アンバランス入力にも使用できます。
ラインアンプユニットはAPIモジュールを範としたマスターズ改良バージョンです。いわゆるオーディオ全盛時代の、プロ的な情報量いっぱいかつ切れ味に優れた傾向のものです。
それに、ケミコンレス電源部で電源供給するので、このようなサウンド傾向に、さらにクリーンでさわやかさ・透明さが倍増した感じを得ました。MOSFETパワーアンプ・トランジスタアンプ・真空管アンプといろいろなパワーアンプと組み合わせて聴きましたが、この感じは揺るぎないものと思います。
また、このプリアンプはS/N比に優れ、残留ノイズは何と14μVと素晴らしい結果を得ました。
景気の低迷、雇用が大変なご時世で、資金を趣味に振り向けることは大変です。より少ない資金で製作できる方法もありますので、関心をもたれた方はお気軽にご相談ください。
仕様例
方式 |
フルバランス増幅プリアンプ |
入力 |
バランス:1系統,アンバランス:2系統 |
出力 |
バランス:XLRおよびRCA |
増幅度 |
8.5dB |
入力インピーダンス |
50kΩ |
周波数特性 |
10-20kHz(-0.2db/1V/47kΩ) |
最大出力 |
8V |
ひずみ |
0.01%以下(10-20kHz:出力1V) |
残留ノイズ |
14μV以下 |
シャーシサイズ |
ご相談によりカスタマイズできます。 |
質量 |
4.5kg程度 |
消費電力 |
10W(電気用品安全法) |
ケミコンレスプリアンプ“MASTERS CA-225/APIシリーズ”については、サイトに掲載後、2-3日で3名の方からの問い合わせがあり、先週は立川方面から、視聴してみたいというお客様が当工房にお越しになられました。工房ですので、きちんとしたリスニングスペースがあるわけでなく、アンプのヒアリング用スペースというべきもので、定員1名です。
強いて良いところを挙げれば、3部屋が空間的に解放されているので、低音がこもらないところでしょう。
さて、ケミコンレスプリアンプは、さらにフィルムコンを追加して、所定の電気的性能(ひずみ,残留ノイズ等)が良好になりました。
また、音質もさらに透明に瑞々しく、奥行き感も良く表現できるようになってきました。電源的にはバッテリーをメインにするのがベストでありましょうが、バッテリには充電という作業が必要で、メンテナンスフリーにするには高価な充電器(約¥5万)が必要という経済的問題があります。
そのポイントからは、電源の整流問題はイオン反応による電解コンデンサより、静電作用だけによるフィルムコン,オイルコンを採用することによって、かなり解決できます。
これまで長くアンプに携わって、どの部分が一番重要かというと電源部分ではないかと思います。なぜなら、アンプは、スピーカに電源から流し込む機械だからです。アンプ増幅回路は、送り込む電流をコントロールする役割ですから、肝心の電源が汚れていたり不安定であったりすれば、いくらアンプ増幅回路が優れていても限界があります。このあたりのテクニカルバランスがアンプ設計においては重要でしょう。すなわち、大局的にオーディオシステム全体を考慮することが大切です。オーディオでも、趣味となるとごく一部について拘るお方がおられますが、これは趣味としては重要ですから、それは良しとしましょう。
話が横にそれてしまい、すみません。
立川方面から来られた方をお迎えして、さっそく視聴いただくことにしました。部品はある程度時間経過しないと安定性能にならないので、20分程度は耳慣らしです。ウォームアップの音楽は、このところ、WRアンプの主宰者・川西氏が録音したクラシック・ストリングスを用いています。デジタル録音ですが、メジャーレコード会社の音源のように、あれこれとデジタルプロセッサ処理をされていないので、非常にフレッシュです。
このサウンドがいかにフレッシュに(臨場感溢れ)聞こえるかで、ケミコンレス・プリアンプのヒアリングではかなり役に立ちます。
次に、お客様が持参されたジャズCDでのヒアリングです。小編成(トリオ)なので、各楽器の近接音がいかにリアル(ここでは非日常的)に感じられるかが聴きどころです。
この音源にはかなりのフレッシュさを感じ取ることができました。この音源はかなり楽しめます。さらに、ジャズ・ボーカルと3曲ほど聴き終わったところで、使用したパワーアンプは、WRアンプのスーパーカスタム・EMeバージョンでした。
日立MOSバージョンはベストに近い歯切れ良さがありますが、EMeバージョンもなかなかすぐれ、いわゆる“こく”のあるサウンドです。
お客様は、パワーアンプは真空管アンプで聴いておられるというので、このときまであった(このあとすぐに販売完了になりました)5998パラシングルアンプを接続しました。5998は今や貴重管で、低内部抵抗・低ひずみ・ある程度の増幅率があり、非常に優れています。但し、その低内部抵抗を生かす出力トランスがないというのが困ったことでした。このアンプはカスタム設計シングルパワーアンプ用バイファイラー巻き(800Ω:4,8Ω)を搭載しているので、5998を十二分に生かすことができたのです。
このアンプと組合わせるとさらにスムーズサウンドになり、お客様は、“まったく違和感がない”と感心してくれました。わたしは、ある意味、天国的な癒し感を感じました。
お客様はそれなりに納得されて、お帰りになられたようです。
今後は、アナログレコードにも力を入れているので、ケミコンレス・プリアンプのフォノイコライザー入りを希望されていました。もちろん対応できます。
いずれ、このアンプはバランス対応まで拡張整備するつもりでおります。
皆様、まだまだ厳しいご時世が続きますが、せっかくの人生ですから、生活を確保した上で、オーディオ趣味で生きている喜びをかみしめましょう。
“生きていて良かった!”と思えるように!