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店長が日々感じたことを、オーディオエッセイ風に綴ります。開発日誌、コラムなど、様々な内容を情報発信しています。
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STAXイヤースピーカ/ヘッドフォン バランスドライブアンプ〝MASTERS SX-3000”シリーズのブラッシュアップ

STAXイヤースピーカ/ヘッドフォン バランスドライブアンプ〝MASTERS SX-3000”シリーズをブラッシュアップします。

経緯

STAXのイヤーSPは、昨年来に新型Lシリーズとなって、ますます高音質になったといえます。
私は2月末、新規本社・工場に移転したSTAXを訪問致しました。新社長、名誉社長、技術スタッフにお会いし、さらに、新設したクリーンルームでの組立作業を見せていただきました。
Lシリーズは、振動部の構造、金型を一新して、振動起点が明確、頑丈になり、さらに正確な発音が可能になったと感じました。
その思いを、STAXイヤースピーカ/ヘッドフォン バランスドライブアンプ“MASTERS SX-3000BD”にも反映したいと思い、検討を重ねてきました。

近々、新規SX-3000BDG/SPが登場します!

基本的な回路構成に大きな変化はありません。バランス増幅回路のバイアス電源回路をより精密化し、さらに、STAXイヤーSPへのDCバイアス回路を独立させました。(これまでは真空管増幅回路の電源電圧に上乗せして、DC+580Vを作っていました。)
電圧増幅部のCR定数を調整し、さらなる低ひずみを実現致しました。そして、大きなメリットとして、標準モデルに4W+4Wのパワーアンプを搭載し、より多用途アンプと致しました。
また、通常ヘッドフォンのバランスドライブも標準装備と致しました。
さらに、そのケースは美しいアクリルプレート仕上げ、そしてサイドウッド構造、写真に示すようにさらに美しい姿となりました。名デザイナー・大友氏の傑作と言える作品です。

そのパーフォーマンス

ちょうど、SX-3000BDのカスタムモデルの注文があり、事前に話しあって、ご納得いただいて、改良型の内容を盛り込みました。製作は慎重に段階を踏み、6月になってようやく完成致しました。
電気的特性はそのアンプの正常動作を示すもので、最大出力電圧、ひずみ、周波数特性、残留ノイズ等、とても優秀な結果を示しました。もちろん、調整は入念におこないました。
電気的特性が優秀だからと言って、それがそのまま高音質に結び付くものではありませんが、電気的特性が良いことに悪いことはありません。静電型スピーカーは容量性負荷になるので、ダイナミックスピーカのように動電回路による逆起電力は発生しません。むしろ、容量負荷に対するアンプの発振安定性が大切です。SX-3000BDのバランス増幅基本回路は、NFB量は6dBですので、発振安定度は抜群です。
さて、ドキドキしながら、STAXイヤーSPを聴き始めました。何という優美でしなやかなサウンドでしょう。そして生き生きしたサウンドが流れ始めました。特に、フィメール・ボーカルの澄み切ったサウンドにうっとりです。
ご注文なさったFさんから、大変満足したとのTEL、メールを受け取りました。
大編成のオケも見事な分解能を聴き分けながら、気持ち良くそのスケールを感じ取ることができました。
あとは、STAXの新型Lシリーズを購入しなくては!という想いにかられました。

MASTERS SX-3000BDG CUSTOM アンプ部
【写真1】MASTERS SX-3000BDG CUSTOM アンプ部

MASTERS SX-3000BDG CUSTOM アンプ部+電源部セット
【写真2】MASTERS SX-3000BDG CUSTOM アンプ部+電源部セット


ファインメットコアのパッシブプリアンプへの採用検討

経緯

2015年末、あるオーディオファンの方から、“ファインメットコアで作ったトランスを搭載したパッシブプリアンプを製品化できないか?”という問い合わせをいただきました。

MASTERSのパッシブプリアンプ、CA-777シリーズ(「トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-777N/AC”」,「トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-777NS”」など)、CA-999シリーズ(「バランス型トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FBN/AC”」,「バランス型トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FBC/O”」など)は評判が良く、サウンド的にも、電気的特性にも優れ、特に新素材コアを採用しようという考えはありませんでした。

熱心に“ファインメットを検討してできないか?”といわれるメールに、私も心が動き、何とかファインメットコアを入手できないものかと探してみました。

製造元である日立金属に当たってみても、ある程度の量でないと購入は難しそうでした。
そこで、トランスコア加工会社を見つけて、その会社でファインメットを入手してもらい、マスターズ向けのコアを入手できないものかと、人脈や、検索をして、探してみました。
ようやく、トランスのタムラと40年前取引していたカットコア加工会社とコンタクトとることができました。

ファインメットコアの入手・試作

さっそく、そのカットコア加工会社にTELすると、社長さんがTELに出てくれました。お話すると、“それなら、少量でも良いから、試作しましょう!”と言ってくれました。
お話を伺うと、コア形状はカットコアになるとのこと。カットコアは磁路がほぼクローズドループになるので、インダクタンスを大きくとれるのでOKと答えました。
けれども、カットコア形状にすることは、ファインメット素材シートをカットコア形状に捲いて、そのあと2分割にカットして、カット面を研磨する手間もかかり、部品コストはかなりアップすると予測されました。
パーマロイコアは非常に高価です。それ以上にファインメットによるカットコア価格は高価な見積りになりました。
そのような状況でも、私は試作することを決意して、少量で申し訳なかったのですが、CA-777シリーズに採用しているトランスコイルに適合する(コア断面積)コアサイズを指定して、CA-777シリーズ2台分のコアを4個注文しました。

年が明けて、2016年2月初旬にファインメットコアが入荷しました。
すぐ、試作しようと焦りましたが、受注残のマスターズアンプの製作にパワーを取られて、試作機を組立て・完成したのが3月末になってしまいました。
なるべく、シンプルにしたかったので、1入力・1出力タイプとしました。
「【写真1】ファインメットコアで作ったトランスを搭載したパッシブプリアンプ試作機」を参照してください。

そのパフォーマンスの評価

電気的特性の、特にコア材の性能が発揮される高調波ひずみ特性を測定しました。

「【図1】MASTERS CA-777Nタイプ 高調波ひずみ率 : コア材による比較グラフ」に示すように、ファインメットもスーパーパーマロイも、極めて低ひずみで、非常に優秀です。但し、低域に関しては、ごくわずかに、スーパーパーマロイのCA-777Nのほうが低ひずみです。どちらも、非常に優れています。

ちなみにオリエントコアと比較してみると、中域から低域にかけて、上記2つのコアに比べてひずみが観測できるのは、オリエントコアは高磁束密度の動作領域では優れているものの、透磁率では、ファインメットやパーマロイに及ばないので、そのような結果になると思われます。

磁性体については、透磁率という言葉がよく出てきます。これは磁界において、磁化特性の鋭敏さを表すと言われますが、オーディオ機器においては、どのような特性に反映するかはあまり解説されていないようです。
透磁率が高いことは、それだけリニアな特性を示すと言っても良いでしょう。その成果は、低ひずみ特性を示すと結論づけても良いでしょう。

ファインメットコアは、低ひずみであり、透磁率が極めて高いですが、パーマロイより高い磁束密度動作領域でその優秀が発揮されるようです。
「【図2】トランスコア材による磁化特性の違い: 概略比較データ」を参照してください。

スーパーパーマロイは飽和磁束密度がファインメットに及ばないものの、その透磁率は低磁束密度領域では透磁率がファインメットより高く、ひずみ特性はもっとも優れた性能を示していると思われます。

結論として、ファインメットはある程度、透磁率が高く、飽和磁束密度も高い、バランスのとれた磁性体と言えます。オールラウンドで優れた性能を発揮する新素材と言えます。
一方、スーパーパーマロイは高い透磁率特性を生かす用途では最も優れた磁性体と言えます。

ヒアリング結果

ファインメットコア試作機

どちらかと言えば、その音調は暖色系、そして繊細であり、分解能に優れ、かつ、迫力があります。エネルギーバランスはフラット感であり、そして低域再現も見事です。広がり感、奥行感も充分です。
オケ,合唱,オペラ,ビッグバンド再生にも充分なパフォーマンスを示しました。もちろん、その静寂感は素晴らしいです。

スーパーパーマロイコア:CA-777N

ファインメットコアと比較すれば、音調はわずかに寒色系、繊細でありその分解能は見事につきます。低域感は、よく聴いてみると充分に再生していると認識できます。広がり感、奥行感の再現が素晴らしいです。
そして、静寂感の再生はトップと思います。どのような高S/N比のアンプでも、このローノイズ感は実現できないでしょう。
ジャズトリオ,ボーカル,室内楽,ギターソロなどの音源には最適でしょう。

オリエント試作機

その音調は、パワフルで、音楽をガンガン聴きたい方には最適です。もちろん、通常のプリアンプよりローノイズで、混濁感のないことはパッシブプリアンプのもっともすぐれた性能です。

結論

通常のプリアンプはノイズ発生に加え、電磁波ひずみの混入問題があり、良いアンプ設計、製作に考慮が必須な事項です。

今回の検討により、ファインメットコア搭載のマスターズのトランス式パッシブプリアンプの製品化を計画致します。ご期待ください。

参考情報

トランス巻線の基本式を載せておきます。
トランスの巻数を決める数式は以下のようになります。
N=E÷(4.44×A×B×f)
但し、N:巻数,E:印加電圧,A:コア断面積,B:最大飽和磁束密度(設計設定値),f:周波数

上記の式から、コアを大きくするか、飽和磁束密度が大きくとれるか、使用する最低周波数を高くできるかすれば、巻数は少なくてすみます。
身近なところでは、60Hz地域では、電源トランスの巻数は50Hz地域に比べて、巻数は少なくてすみます。ですから、世界の大多数の国では、商用電源電圧は60Hzが標準になっています。


ファインメットコアで作ったトランスを搭載したパッシブプリアンプ試作機
【写真1】ファインメットコアで作ったトランスを搭載したパッシブプリアンプ試作機

高調波ひずみ率 : コア材による比較グラフ
【図1】MASTERS CA-777Nタイプ 高調波ひずみ率 : コア材による比較グラフ

トランスコア材による磁化特性の違い: 概略比較データ
【図2】トランスコア材による磁化特性の違い: 概略比較データ


フルバランス増幅ステレオプリメインアンプ“MASTERS AU-999ZB/AC”の電気的性能とパフォーマンス

経緯と概要

これまで、アドバンストZバランス回路搭載アンプは、フルバランス増幅ステレオパワーアンプ“MASTERS BA-999ZB/A”,フルバランス増幅モノラルパワーアンプ“MASTERS BA-999ZB/MA”で好評をいただいております。
新製品として、この回路を搭載したプリメインアンプを発売致しました。
ご承知のようにフルバランス増幅ステレオプリメインアンプ“MASTERS AU-999ZB/AC”は完全バランス増幅アンプ、パワーも30WとMASTERSアンプとして、それなりにハイパワーです。
電源部はメイン電源がL/R、2トランスによるバランス電源となって、パワーステージに電力を供給しています。プリドライブ(電圧増幅)段は専用の別電源、トータル3電源トランス方式となっています。
内部は大型ヒートシンク2個、3トランス、ケミコン、ダイオード、4連ボリウム等でぎっしり詰まった充実の内容です。
また、形状はセットしやすいように幅の狭いスリムタイプ形状のスタイルになっています。

電気的性能

周波数特性、ひずみ特性、共に素晴らしく、ワイドレンジ、低ひずみとなっております。また、残留ノイズは増幅率が23dBあるにもかかわらず、120μV(LPF:80kHzフィルターのみで測定)と低く、さらに、DC安定度は抜群で変動しません。(サンスイXバランスでは、3段増幅回路であるので、どうしても、3段目のDC変動は少しあります。)
スルーレートとは高域周波数において、どこまで再生できるか、高域パワーバンドを示すもので、むやみに高くする必要はありません。但し、スルーレートがものすごく高くても安定にNFBが掛かるというのは優れたアンプ回路ということができます。電気回路ではNFBを深くするとスルーレートを高くすると発振安定度が低下します。
AU-999ZB/ACは、半導体アンプとしては少量NFB(30dB程度:通常の半導体アンプでは50-60dBもかける)、比較的高いスルーレートを得ることができています。
結果的にモノラルアンプのBA-999ZB/MAと同等な性能を得ています。

そのパフォーマンス

最近、出来上がったAU-999ZB/ACを、エージング兼ねて聴き始めました。まず、気が付くのがサウンドの分解能の高さです。オーディオ/音楽信号が多量にインプットされても、まったく混濁せず、それぞれの音楽情報が聴き分けられます。また、改めて、音楽情報が持つパワフルさを感じ取ることができます。また、少しだけ寒色系と感じられるのは、MOSFETがこれまで採用していた東芝2SK5405/J115からルネサス(旧日立)2SK1059/J160になったこともあるのでしょう。
東芝、ルネサスのMOSFETは電気的性能にはほとんど同様ですが、製法、ペレット構造が異なるので、微妙にサウンドは頃なるようです。ちなみに、私の感じ方では、東芝は華やかなサウンドに聴こえます。

AU-999ZB/ACはジャス、ロック系音楽ではパワフルに、クラシックでは細部の音を聴きとりながら、パワフルに聴けます。バロック、ギター等に歯切れと清澄感が重要な小編成音楽も充分すぎるほど楽しめます。

BA-225MOSy等のバランス増幅アンプのアップグレード

アドバンストZバランス増幅回路へのアップグレードも受け付けております。
是非お試しください。さらにフレッシュサウンドが楽しめます。

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