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プリメインアンプ“MASTERS AU-890L”に採用しているオーディオ全盛時の部品

イシノラボの工房は、連休に関係なく営業しておりました。最近は、プリメインアンプ“MASTERS AU-890L”関係のご質問、カスタムのお問い合わせを特に多くいただきます。

ひとつ興味深いものとして、「“AU-890L”に採用しているレバースイッチは、まだありますか?」というお問い合わせがありました。
写真に示すように、オーディオ全盛時には、レバースイッチが多用されていました。
このスイッチは小型化には不向きで、また、安くは作れませんから、スイッチ各社は競ってレバースイッチをやめて、プッシュスイッチへの移行をアンプメーカーに促しました。
ちょうど、“SANSUI AU-606/707/907”の時代です。販売店も我々も、スイッチの位置で、はっきりとアンプの機能位置(例えば、トーンコンがONしているかどうか)がわかるレバースイッチを望んでいたのですが、あっさりと無視された感じでした。
当時は、LEDがようやく一般的に使われてきて、LEDが点灯すれば、その機能のON/OFFはわかるはずという説明でした。

それから時が流れて、もう、レバースイッチが姿を消してから30年以上は経つでしょう。
このレバースイッチは偶然、部品屋さんの倉庫から保存状態の良いものが見つかったので、ある程度の数を買っておいたものが、今、“AU-890L”に採用致しました。在庫は、あと2桁の数のアンプは作れますが、いずれなくなります。
このレバースイッチに魅力を感じる方は、どうぞ、“AU-890L”に関心をお寄せください。

レバースイッチ


新製品 プリメインアンプ“MASTERS AU-890L”のご紹介

これまでホームページ上には、大友デザイナーによるデザインスケッチで、プリメインアンプ“MASTERS AU-890L”を紹介しておりましたが、やはり作ってみてのご紹介が筋ということで、1台製作しました。

  1. 回路は、大好評のプリメイアンプ“MASTERS AU-880L”と基本的には同様です。電源トランスはオーソドックスなEI型タイプを搭載しております。電源トランスのタイプにより、電源変動率だけでなく、動作時のリケージフラックスが異なるので、微妙にサウンドは異なるようです。AU-880Lより、わずかにどっしりした感じが聴き取れます。
  2. 電源ケミコンは、USA製のスプラーグ製をメインに搭載しております。容量が多くはないのにそれなりに大型になっているのは、電解箔のエッチング倍率は低く、等価抵抗分が低いと思われます。従って、好ましいサウンドが出てくる可能性が高いです。近年のケミコンのエッチング技術は凄く、小型で驚くほど容量が取れます。抵抗分(ESRと言う)は別として。
  3. 操作は、ロータリースイッチとオーディオ全盛時代に使われたレバースイッチでおこなえるようになっています。とっくに製造は完了しているので、在庫分を使ってのご提供です。使用感と見た目は、素晴らしいと思っています。
  4. マスターボリュームはアルプスのデテント型を採用しています。このボリュームのL/R減衰特性の素晴らしさには目を見張ります。特に、-50~ー75dBの減衰特性のL/R偏差の正確は、プロ用の東京光音電波のボリュームも素晴らしいですが、それを上回ります。音質もアキュレートそのものです。
  5. AU-880Lで好評な部分は、パワーアンプへのダイレクト機能です。AU-890Lでは、レバースイッチを下に倒せば、ボリュームを通らず、パワーアンプと動作します。
  6. AU-880L同様、このアンプの電源ON時、立ち上がり、電源OFF時の立下り特性が極めてスムーズなので、SPリレーは通ることはなく、しっかりしたレバースイッチを通るだけとなっております。万が一のプロテクションはヒューズで対応しております。ブレーカースイッチへのカスタムは受け付けますので、ご利用下さい。
  7. 肝心のサウンドは、このようなスモールパワーとは思えないようなパワフルさで、かつ明快、分解能も良好、繊細さもあり、良好なサウンドと思います。将来プランとして、パッシブプリアンプ“MASTERS CA-777S”と組み合わせれば、さらに精緻なサウンドが聴けると思います。

P/S:
私の気持ちの拠り所としていた音響機器メーカーの山水電気株式会社が東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理されました。昨年、親会社ザ・グランデ・ホールディングズ・リミテッド(香港)も事実上の倒産状態に。資金調達のメドがまったく立っておらず、今期の定時株主総会も延期していました。 東証では、5月3日付けで上場廃止となる予定。これで、山水電気は完全に消滅になります。


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