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店長が日々感じたことを、オーディオエッセイ風に綴ります。開発日誌、コラムなど、様々な内容を情報発信しています。
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新開発“アドバンストZバランス回路”のパフォーマンス

前回のブログで“アドバンストZバランス回路”(改良型Zバランス回路)についてご紹介したところ、早速、フルバランス増幅モノラルパワーアンプ“MASTERS BA-999ZB/M”ユーザーの方からの改造リクエストがあり、現在、2セット改造完了、来週、もう2セットを実施することになりました。

電気的には、残留ノイズが10dB近く下がり、S/Nが向上致しました。
更に、最大パワーが15%程度アップしました。
ひずみ・周波数特性は、これまでと同様に優秀です。また、DCドリフト安定度は、サンスイXバランスの3~5倍(DCドリフト変動が1/3~1/5)と優秀な性能となりました。

ところで、このアドバンストZバランス回路の具体化は、前回のブログに示したブロックダイアグラムにすれば何とかなると言うわけではありません。回路定数の決定、ゲインの設定、調整法、電源電圧の設定、入力インピーダンスなどなど、多くの検討を経て出来上がっております。その検討は電気的特性、ヒアリングによって、少しずつ、でき上がってきた感想です。今にして思えば!

さて、この新回路によるアンプのサウンド(音調)は、どんな感じかというと、文字表現でサウンド(音調)を伝えることは料理の味を表現するより難しいと思いますが、強いて言えば、リアル感を伴ったパワフル感、pppからffffに至るクレッシェンド、デクレッシェンド、の表現が本当にのびのびと表現しているように思えます。
また、ジャズボーカルを聴くと、表情が細やかで、かつ、表現が大胆に思い切って唄っているように感じます。
また、サポートするバックの低音、中低域の成分がリッチで分解能が優れて聴こえます。

なお、、視聴希望の方は、現在は猛暑で聴くのは大変ですので、9月になりましたらご一報ください。定員1名ですが、2時間程度はお聴きになれます。


改良型Zバランス回路の開発

Zバランス回路は、開発・製品化以来、好評をいただいております。
その後、さらなる発展を検討して参りました。
その具体化は以下のとおりです。

  1. パワーステージとプリドライブステージとの電源供給を分離、別電源方式としました。
    パワーステージは、スピーカーの電力を送り込むことが主たる動作です。
    パワーステージは、音楽のレベル変動により、スピーカーに送り込む電流が変動します。SEPP回路は、電源電圧が電流繁華のため変動し、パワーステージの動作に影響を受けますが、電源変動を受ける比率(電源変動除去率:SVRR)は60-70dB(1000~3000倍)くらいあり、音質に与える影響はほとんどないというレベルと言われています。
    一方、プリドライブステージは、パワーステージの電源変動による影響は差動回路、差動プッシュプル回路により、同じように、影響は受けにくい構成と言われています。
    けれども、上記ステージの電源供給は、回路的に分離したほうが完全にパワーステージのプリドライブ段への影響は断ち切れます。そこで、別トランスにより別電源を設置し、プリドライブステージには独立して供給する方式と致しました。
  2. パワーステージは、上記のように電源分離することにより、本来のバランスドライブの特長であるグランド電位に影響されないバランス電源とすることが可能となりました。具体的には、パワーステージ供給電源はグランドからはフローティング方式(サンスイのXバランスと同様)となりました。
    グランドに影響されないので、スピーカーに必要な電流を送り込む機能は、更に向上致しました。
  3. 音質上の効果は、更にのびのびしたパワフルサウンドになりました。また、より低域の再現がリッチになり、S/H比が向上した感じのサウンドです。
    事実、S/N比は6dB程度改善されました。
    なお、バッテリー電源供給方式の場合は、バッテリー電源は安定しておりますので、分離効果はそれほどありません。
  4. 改良型Zバランス回路を搭載したパワーアンプ“MASTERS BA-999ZB/A”を近々リリース致します。
    そして、これまでZバランスアンプをお買い上げのユーザー様で、上記方式へのアップグレードをお望みの方は、ご相談下さい。改造して新回路にアップグレードすることは可能です。

猛暑のなか、皆様の心身のご健康を願っております。

改良型Zバランス回路のブロックダイアグラム図
【改良型Zバランス回路のブロックダイアグラム図】


MASTERSパワーアンプのNFBについて

オーディオアンプは、ご存じのように、アンプ自身がトランスのようにパワー変換するものでなく、入力信号に忠実に、電源から負荷(スピーカー等)を動作させることです。その意味では、オーディオアンプはコントローラー(制御機器)なのです。

このコントローラー回路(電源回路を除く)がより忠実に動作するように、NFBが採用されて、より忠実度を高めていますが、その動作のさせ方がまずいと逆効果になって、返って、NFBを掛けないほうが良い!というような意見が出て、“無帰還アンプが良い!”と信じる方も特に真空管アンプファンには少なくないようです。

真空管アンプは、出力トランスというインダクタンス、抵抗、容量という複雑なデバイス(分布容量的)ですから、多量なNFBは時間遅れを生じて、NFBが正しく掛からず、それ以上に発振領域に近づいて、そのコントロール機能は不充分で、掛けないか、適切なNFB量が良いということが分かります。真空管アンプの場合、NFBを掛けない状態でも充分動作して測定できますし、NFB量を測定しながら動作状態を判断できます。
一方、半導体アンプは直結回路になっているので、NFBを不注意にはずすとアンプ出力電位がふらつき、アンプ動作ができなくなります。それで、アンプ設計者はNFBを掛ける前のオープンループの特性を推測して、回路を設計しているのです。

綿密にオープンループ特性を考慮する設計者は、事前にオープンループ特性の計算をして、その周波数特性をコントロールして、位相補償回路定数を設定して、設計試作をスタートし、動作させてそれが問題なく動作するかを検討して、設計を進めていきます。けれども大半の設計者は“発振安定度がある程度とれていれば良い”、“社内安定度試験(容量負荷試験)をパスすれば良い”というような作業していると思われます。それでもある程度のアンプができるのは先輩の残した資料のおかげです。しかし、“先輩の残した資料から外れない設計をすれば良い”ということになれば、新製品アンプはむなしいことになりませんか?

私自身も、長年アンプに携わっていますが、まだまだ、まだまだ、浅学であるということを自覚し、前向きにとらえて、新しい発見、工夫があるという喜びで仕事を続けています。
具体的には、MASTERSパワーアンプ増幅回路におけるNFBは、時間遅れがオーディオ帯域では全くないアンプに仕上がっています。【図1】に示すように、オープンループはそれほど高く設計していないので、30kHzまで時間遅れなくNFBが掛かっています。位相補償回路は、NFB回路の5PFの微分回路とMOSFETの負性抵抗分をキャンセルする220Ωだけと、オープンループ特性が極めてワイドレンジであることが分かります。
マスターズアンプのピュアで透明、奥行感のあるサウンドは、このような優れたコントロール回路によるアンプであるからです。
また、MASTERSパワーアンプは、電源ON/OFF時の立ち上がり、立下りは±電源が均等に立ち上がり、立ち下がるように設計しているので、スピーカー用リレーはありません。よりピュアなオーディオ信号をスピーカーに送り込みます。

MASTERSパワーアンプのNFB回路構成の基本(ハーフブリッジタイプ)
【図1】 MASTERSパワーアンプのNFB回路構成の基本(ハーフブリッジタイプ)

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