オーディオのイシノラボ・ドットネット オーディオ機器の通販・修理!

イシノラボ オーディオ関連商品通信販売(オリジナルオーディオアンプや、真空管などのオーディオパーツ)

マスターズ オリジナルオーディオアンプの製作・販売

ホーム  >  店長のブログ  >  引き算式チャネルデバイダ
一言ご紹介
【MASTERSブランド】
AU-900XG/B
AU-900XG/B
“Xカレント回路”搭載!
バッテリー電源/通常電源でも聴けるプリメインアンプ!
人気記事リスト
  1. 最近修理したサンスイアンプについて
    2012年1月12日(木)
  2. オーディオアンプの修理の傾向
    2020年4月5日(日)
  3. すぐれたロータリースイッチの存在でMASTERSパッシブプリアンプが成立している
    2013年4月6日(土)
  4. 1978年製“サンスイ AU-707”の修理
    2016年10月16日(日)
  5. トランス式アッテネータ・パッシブプリアンプ MASTERS ATT-900シリーズ
    2010年7月18日(日)
  6. 我が家のオーディオ装置から、やっといい音が出る!!
    2011年1月16日(日)
  7. オーディオを節電しつつ楽しむには
    2011年3月21日(月)
  8. NFBアンプを考えてみよう!
    2013年12月25日(水)
  9. バッテリー電源に使うバッテリーを充電するには!?
    2010年4月6日(火)
  10. 昨今のビンテージ真空管事情
    2011年11月19日(土)
  11. パッシブ・プリアンプで体験したこと
    2010年12月31日(金)
  12. 弊社製品の安さの理由とオーディオ機器の価値
    2011年2月12日(土)
  13. 新開発!Zバランス回路(Xバランス回路の改良版)!
    2012年8月12日(日)
  14. アンプの進歩を導いたJBL SA600アンプ回路をベースに創ってみた
    2018年11月24日(土)
  15. 日立(現ルネサス)高性能MOSFETによるZバランスアンプ
    2015年9月9日(水)
  16. 高能率スピーカに最適のアンプとは?
    2012年5月14日(月)
  17. 新開発の真空管整流電源によるトランジスタ・フォノEQアンプ
    2012年1月19日(木)
  18. カスタムアンプ“MASTERS CA-999FB/super A custom”のユーザー様からのレポート
    2011年6月4日(土)
  19. 評価の高いプリメインアンプ“MASTERS AU-880L”
    2011年6月26日(日)
  20. 究極のリアルサウンドが聴けるか!マスターズのパッシブ・プリアンプ
    2010年10月23日(土)
  21. 真空管アンプによるフルバランスシステム 試聴報告
    2008年10月7日(火)
  22. MCトランス“MASTERS MC-203”の優美なサウンド
    2013年7月3日(水)
  23. 真空管パワーアンプ 6AS7Gppアンプ製作
    2010年7月8日(木)
  24. 300Bを4本採用したフルバランス・プリアンプのカスタム製作
    2008年9月28日(日)
  25. マッチングトランス、その新接続方法によるパフォーマンス
    2013年6月2日(日)
  26. ホーンシステム・ユーザーさんに有益な情報!
    2010年5月22日(土)
  27. “MASTERS BA-225FB/MOSy”誕生!
    2008年5月6日(火)
  28. ビンテージ管45(直熱3極管)搭載プリアンプ“MASTERS CA-45S CUSTOM”の更なる改善
    2010年9月26日(日)
  29. トランス式パッシブプリアンプ“MASERS CA-999FBS”を納入致しました!
    2011年9月7日(水)
  30. パーマロイコア採用の小型出力トランスの開発と搭載アンプの製品化計画
    2017年7月8日(土)
  カテゴリー ‘引き算式チャネルデバイダ’ のアーカイブ
店長が日々感じたことを、オーディオエッセイ風に綴ります。開発日誌、コラムなど、様々な内容を情報発信しています。

ブログのホーム


引き算式チャネルデバイダ(中山式回路)

当社が製作しているクロスオーバー周波数可変方式は、他にないユニークで、実際のCH間のサウンドバランス調整に大変役立って、便利で、順調に注文を頂いております。
そのようななか、かねてから知っているFさんから、引き算式チャネルデバイダ(以下、「チャネルデバイダ」を「CHデバイダ」と記載します)を造ってもらえないかというリクエストを頂きました。

いきなり引き算式と言われて、戸惑ったのですが、落ち着いて考えると、20年くらい前、設計会社をやっていた頃、SONYの委託を受けた会社のKGさんから、引き算式の設計依頼を受け、設計、試作したことを思い出しました。

例えば、2CHデバイダを設計する際、普通は、低域側にはローパスフィルタ、高域側にはハイパスフィルタを設けて、構成します。
この方式は、6dB/octフィルタでは、フィルタの位相シフトがクロスオーバーポイントでは45度となり、どの帯域でも、低域と高域の和は一定であり、いわゆる伝達関数は1となります。但し、減衰量が緩いために、低域側と高域側とが相互干渉して、音響バランス上うまくいかないケースが多いのです。
そのような理由で、普通、CHデバイダは12dB/oct以上の減衰量のCHデバイダが主流です。けれども、この方式は、位相シフトがクロスオーバー周波数において、90度になるために、逆相になるため敬遠する方が稀におられます。そのような状況をクロスオーバー周波数を可変とすることで、最適ポイントを見つけ出すのがマスターズのCHデバイダです。

また、このような問題点を一掃する方式として、デジタルCHデバイダがあります。この方式は位相シフトの問題はまったくなく、自由に減衰量を設定できます。例えば、ー90dB/octのような凄い減衰特性も得られます。
事実、デジタルCHデバイダーを採用したCHアンプシステムを、2人の御宅で聴きましたが、サウンドバランスは素晴らしく、自然で好ましく、以前、その感想をブログで報告したことがあります。
けれども、サウンド品位を重視する方から、“A/D,D/Aプロセスを繰り返すので、デジタルCHデバイダは少し問題がある”ということを聞いたことがあります。

そのような状況で、引き算式CHデバイダとは、上記の2CHデバイダの時は、低域側にローパスフィルタを設置し、それを低域出力にすることは変わりませんが、高域側の出力は、入力信号から、低域側の成分を引けば、残りの成分は高域成分になります。これが、引き算式CHデバイダの基本的な考え方です。

詳細は省きますが、この方式で、-12dB/oct方式を採用しようとすると、位相シフト変化により、-6dB/oct方式と同じ結果になり、伝達関数は1になっても、減衰量に上述したような不具合が生じてしまいます。

この欠点を、1960年代の後半に、山中氏が、遅れた位相を進める補正フィルタを増設することによって、-12dB/octの特性を示しつつ、伝達関数1を達成できました。以後、引き算式フィルタによるCHデバイダは、山中(氏)の方式と言うようになりました。

それから、40年以上経た現在、山中式CHデバイダは私の知る限り市販されてないようです。具体的に引き算することは、OPアンプの反転回路を使えば、実現できます。

Fさんのご依頼により作成した、3CHデバイダのブロックダイアグラムを【図1】に示します。

完成まで2か月掛かりましたが、3点クロスオーバー周波数切り換え型のCHデバイダが出来上がりました。
確かに、入力信号とCHデバイダ出力総和とはまったく同じになり、伝達関数1が達成されます。
回路を重視される方は、この結果に狂喜されると思います。
私はスピーカ量産設計の経験から、音響バランスを重視しますので、引き算式が最高とは断言しませんが、ひとつのCHアンプシステムにおける方法と思います。

もし、引き算式CHデバイダを採用してみたい方がおられましたら、是非、ご一報ください。カスタム、一品製作アンプとして、引き受けます。
CHアンプ愛好者の方、ご検討願います。

<2015年7月19日追記>
【写真1】のイメージ画像のCHデバイダができました!!


3CHデバイダにおける中山式回路ブロック

【図1】3CHデバイダにおける中山式回路ブロック(-12dB/oct)


MASTERS CH-303Y/CUSTOM

【写真1】チャネルデバイダ“MASTERS CH-303Y/CUSTOM”


ブログのホーム


Copyright © 2003-2024 ISHINO LAB. © 2003-2024 MASTERS All rights reserved.

Valid XHTML 1.0 Transitional  Valid CSS!   Microsoft Internet Explorer  Google chrome  Microsoft Edge