店長が日々感じたことを、オーディオエッセイ風に綴ります。開発日誌、コラムなど、様々な内容を情報発信しています。

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昨今のビンテージ真空管事情

イシノラボが真空管販売を始めて、10年以上の年月が経っております。スタート当初は、まだアメリカにはビンテージ真空管、WE,RCA,GE,SYLVANIA,TUNG-SOL,RAYTHEON等が市中在庫としてありました。その後、数年して市中在庫が少なくなり、アメリカ国内で個人ストックを買い取る業者が集めて、そこを経由して輸入する状態でした。そして、昨今は個人ストックも非常に少なくなり、見つかっても数本ということも珍しくありません。そして、価格も高騰しております。

イシノラボでは、極力ビンテージ真空管の入手に努めておりますが、最近では、状態の良いUSED品とか、真空管のラベル印刷が消えているものが増えてきました。幸い、測定してみると優秀で、劣化はほとんど見つけられません。特に電圧増幅管では、それがいえます。

他店では、ロシア、中国ものが主流になり、ビンテージ品がほとんどないようです。イシノラボでは、需要の多い12AU7系の真空管では5814A,5963がまだ在庫しておりますので、ご利用ください。また、強力なドライブ管として、5687系の真空管がなかなかの性能であり、12BH7A,6FQ7以上の性能を発揮できる場合もあります。

現在、ビンテージ管でレアなものは12AX7系,6SN7系,12AU7,6DJ8です。12AU7の代わりに7V菅の7AU7,6SN7の代わりに12SN7とヒーター電圧の異なるものはまだ入手は可能なので、自作される方はヒーター電圧の変更で、ビンテージ管を採用することが可能です。

ところで、真空管はいずれ姿を消すと思いますか?1970年前半では、エレクトロニクスの半導体化が進み、真空管は過去の遺物と思われた時期がありました。ところが、2011年の現在でも真空管は入手することができ、むしろ半導体はIC,LSI,超LSI,マイコンIC,メモリーICと進展し、もはや、ディスクリート・トランジスタはどんどん姿を消しています。

真空管の需要は、実はエレキギター用が8~9割を占めるのです。エレキギター用アンプをトランジスタで作っても、ミュージシャンが満足するサウンドになりませんでした。それで、今後もエレキギターが存在する限り、真空管は健在です。けれども、エレキギターには使われない2A3,300Bなどの直熱3極管は姿を消すかも知れません。EL84,6V6,6L6系,EL34,KT88(6550)などの多極管は、ずっと入手可能でしょう。

最後に、イシノラボのセール品は、在庫が少なかったりラベル印刷が消えてしまっていたりしても、性能は確かでお安いので、ご利用をお勧めします。


東日本大震災の復興はまだまだです。微力ながら、先日5回目の震災寄付ができました。皆様のご協力に感謝致します。


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