店長が日々感じたことを、オーディオエッセイ風に綴ります。開発日誌、コラムなど、様々な内容を情報発信しています。

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レコーディングスタジオでマスターズアンプをテストする!(前編)

東京・大田区にある“バニラハウス・レコーディングスタジオ”に行ってきました。
このスタジオは、民家(コンクリート2階建て)の1階部分をレコーディングスタジオに改造しています。スモールサイズながら、グランドピアノを備え、ボーカルブースも設置してあります。代表取締役であり、レコーディング・エンジニアでもある森田さんは、“サウンド・オーナーシェフ”と言えましょう。
このスタジオはアット・ホームな雰囲気なので、若手ミュージシャン達が使ってくれるようです。

森田さんは長年、“アルファレコード”や“SONY MUSIC”で新人発掘業務、エンジニアリング、そして、フリーのプロデューサーとして従事されてきたので、音楽作りの現場もご存じですし、ミュージシャンの腕前・才能を見抜く眼力も確かなものです。それ以上に、サウンドを大変大事にされており、そして、オーディオに対する情熱・造詣も深いです。
メジャーのデジタルサウンドがあまり良くないことを憂いている一人でもあります。

今回の訪問は、森田さんが当社のパッシブプリアンプをスタジオで聴きたいとのリクエストと、後述するMASTERSの300B真空管アンプを、エレキギターアンプとして使ったらどうなるか?との相互のニーズが合致して実現しました。

トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FBS”をレコーディングスタジオでテスト!

このスタジオのモニターシステムは、スピーカに“ALTEC 605A”、イギリス製小型モニター“EPOS”(ロジャースのLS3/5Aのキャビネット製作していた会社製のキャビネットに、イギリス製ユニットを装着した2WAY)に、パワーアンプ“QUAD303”、カスタム製デジタルコンソールです。森田さんは電源を重要視しており、高電圧、少電流主義を実現すべく、あえて240V(イギリス商用電源)で、これらの機器を動作させています。
普段はイギリス製2WAYを小型モニターに用いており、現状システムで聴かせていただきました。
音源は、最近、ミュージシャンが集まって、興が乗ったところで森田さんが録ったもので、音楽する楽しみを記録する意味で、同時録音(セッション)になったとのことです。

私にとっては聴きなれた名曲ばかり、フィメールボーカルを主体としたCDアルバム風になっています。デジタル録音して、そのままの加工なし音源なので、フレッシュそのものです。
私は、バランスを良く録ってあり、聴きやすく、とても好ましく感じました。
生音を知っている森田さんは、もっと生っぽいサウンドが出るはずだ!との観点から、MASTERSのパッシブプリアンプを、モニターシステムに入れ込んで聴きたいというのです。
それではと、写真に示すように、ミクサーシート脇の机の上にパッシブプリアンプをセットして、コンソールからオーディオ信号も貰い、トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FBS”の入力に入れ、出力を“QUAD303”に入れます。
接続を終えて再生の用意が出来たところで、音出しです。

“何と、フレッシュで、生っぽく、しなやかで、音楽が溶け合うのでしょう”。フィメールボーカルが表情豊かに、たっぷりと聴かせます。ほとんどリハーサルなしで一発録りしたとのことで、ミュージシャン達も大した実力です。音楽する余裕と喜びが溢れています。
森田さんは唸って、うなずき、“まるで、音楽が違って聴こえる!良いサウンドが録れていたんだ!”と。
私は、“森田さん!ほんとに、ここで気軽に録ったの?メジャーCDでは、こんな生きたサウンドは聴けない!”と言ってしまいました。
私はケーブル関係には無頓着で、関心もあまりないですが、バランスケーブルをイギリス製ケーブルとアメリカ製ケーブル(ゴッサム)に交換して、私に聴かせます。特に、ゴッサムケーブルでは、かつて、アメリカ・ロスアンジェルスで聴いた、あのごっつい、ややドライな音調が聴こえてくるではないか?との感慨に浸ってきます。
聴き終わって、どうしてこうなるのかは現在のオーディオ科学では解明できませんが、推測としては、以下のようなところでしょうか。

  1. 電源とは一切関係ない機器であること。電源ノイズの影響がない。
  2. パッシブアンプであるからノイズは全くでない。オーディオ信号のみを伝送し、静けさ、清らかさを悪化させない(きれいな流れを汚すものがない)。
  3. キーパーツであるコアがスーパーパーマロイでひずみがなく、さらに、適切な巻線設計ですっきりしたサウンドが出る。
  4. トランス式だから、取り扱うインピーダンスが低く、パワーアンプを低インピーダンスでパワフルにドライブ出来る。

こうして聴いていたところに、このセッションにギターで参加された傳田さんが来訪されたので、聴いてもらいました。傳田さんもびっくりして聴きこんでいました。傳田さんは、写真のミクサーシートに座っている方です。まだ26才の若手ですが腕利きのギタリスト、アレンジャーです。

この音源は、頼んでCD-Rに焼いて貰いました。それをラボで聞き、ご機嫌で、感激を新たにしながら、このブログを書いています。

<パーソネル>
 Ds:河村 亮 カワムラ アキラ
 Bass:森田 晃平 モリタ コウヘイ
 guitar:傳田修弘 デンダ ノブヒロ
 vocal+key:大和田 慧 オオワダ ケイ

<スタジオ連絡先>
 vanilla house sound lab.(ヴァニラハウス サウンドラボ)
 Phone/fax 03-5700-2319
 Email:vanillahousesoundlab@gmail.com

傳田修弘さん
【傳田修弘さん】


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