おそらく、世界初ではないでしょうか?マスターズでは300Bによるプリアンプを製品化しましたが(CA―3000)、今度は300Bを使ってバランス回路によるプリアンプを作ってくれないか?とのカスタム注文を3ヶ月前に受けました。
ご存知のように300Bは直熱管ですので、ヒーター回路はDC点火しなければプリアンプにはヒーターハムノイズの点で、実用になりません。
当然、バランス増幅する事になると、300Bは片チャンネルで2本、ステレオトータルで4本必要なことになります。
となると、プリアンプシャーシはとても大型になってしまいます。
しかし、できるだけコンパクトにすべきと考え、シャーシサイズはCA-3000とほぼ同じサイズに収めることにしました。写真でご覧のように、シャーシ内部は、真空管ヒーター点灯用安定化電源回路等で一杯になりました。
また、できるだけ残留ノイズを下げてプリアンプとして高性能で使えるものとしたいところからマスターボリウムは入力、出力で可変できる方法とすることにしました。
そうなると、ボリウムは4連×2=8連が必要になります。8連ボリウムはまず作られていません。
そこで、東京光音電波に海神無線さんを通じて何とか8連ボリウムを作ってもらうことをお願いしました。
8連Aカーブボリウムとなるとそれぞれのボリウムユニットを8個揃えることになり大変です。待つこと2ヶ月以上、でき上がってきました。このボリウム価格はとても高価となってしまったことはいうまでもありません。
このカスタムボリウムのお陰で、マスターボリウムは-120dB以上まで絞り込む(残留ノイズ実質ゼロ)ことができ、実使用状態においても、プリアンプ自体の残留ノイズは極めて少なく押えられます。
ボリウムインピーダンスは10kΩとしたので出力インピーダンスが大きくなることが防げ、パッシィブ・プリアンプと同じインピーダンスに維持できます。
電源部は別シャーシに納めました。内部をご覧下さい。トランス、チョークとそしてコンデンサで一杯です。電源はB電源、300Bヒーター用電源が4回路必要なので、このトランスで2個、さらに前段用DC点灯ヒータートランスが1個、トータル4個の電源トランスが入っています。これらの電源は、5P、6Pのキャノンケーブルによってプリアンプ本体と接続されるので電源トランスによる誘導ハムは全くなくなります。
さてバランスプリアンプの回路はMT管でありながら大電流ヒーターを持つ5687WAをパラレル接続としてこの出力を300Bにとり込む、2段増幅回路です。NFBは14dBと軽くかけ、ひずみは0.05%以下と真空管プリアンプと言えども半導体プリアンプ並みの電気的性能となりました。この2段増幅回路による仕上りゲインは20dBで、プリアンプとしては4dB程度大きいですが音質の点からこのゲインを最高点と致しました。300Bヒーター回路は安定化電源としたので、規定どおりの5.0Vぴったりとしています。あらためて、300Bは大きい真空管ですが、ヒーター点灯の様子はプレート内に隠れているので外部からは上から眺めないと見えません。4本ともなると、それなりの発熱があります。ともかく壮観です。
大切なことを書き忘れそうでした。バランス構成ですからバランス出力のないCDプレイヤーとかフォノイコライザーを持っていない方にはアンバランス-バランス変換回路を内蔵しています。勿論、真空管回路で構成させています。
さて、肝心なサウンドはどうでしょうか?このプリアンプに対応するアンプはバランスを受け、又はバランス増幅のパワーアンプが必要です。アンバランス(RCAケーブル)出力端子もついていますが、この場合はCA-3000と同じサウンドになるはずです。
音源出版“アナログ”VOL21の記事によれば切れ味がよく明るくパワフルと評価されていました。このバランスプリアンプでは新開発バランス増幅パワーアンプを用意したのでそれでまず聴いてみました。
興味のある方はメール、TEL、FAXにて、問い合わせ下さい。いずれ、製品化する(受注生産)予定ですが、価格は何とか¥30万台に抑えるつもりです。
CA―3000のシャーシに納めることも可能ですが、価格は¥58万程度になります。
その後の感想は次のブログでお知らせします。
完成写真
リア写真
バランスプリの内部
電源部完成写真
電源部リア写真
電源部の内部