皆さまのおかげで、2016年を迎えることができました。
2016年も引き続きご愛顧をお願い致します。
昨今のオーディオ事情
オーディオ誌をご覧になっている方、円安傾向になって以来、円安の程度を超えて、輸入オーディオコンポの価格がひどく高価になってきました。輸入代理店は、海外メーカーの輸出価格の上昇もあると理由付けしています。¥100万円のコンポでもエントリークラスという有様です。
加えて、グローバル環境に対応するということで、日本のオーディオコンポ、とりわけ、カートリッジ、トーンアーム等の価格も異常に高価です。\70万を超えるカートリッジも販売されています。
高価な値付けでも強気なのは、中国のオーディオファンの爆買いがオーディオにも及んでいるからのようです。さすがに、輸入オーディオコンポの売れ行きは低落傾向で、この事態を憂慮した大手輸入代理店は一部海外コンポの値下げを11月に実施致しました。
一方、中古オーディオ品は、その価格から、程よく売れているようです。但し、ヤマト運輸が、スピーカー輸送事故の多さから、メーカー本箱品以外はスピーカー宅配引き受けを取りやめており、やむなく、ピアノ運送で運んでいる状況です。当然、輸送コストはそれなりにかかります。
マスターズアンプのこと
少し、話題が我田引水になることをお許し下さい。
コストパフォーマンス
マスターズ製品は相対的に安価です。これは、マスターズアンプを製作・継続できるだけで、利益は充分と私が考えているので、少しでもお安く提供するように、かつ、ユーザーさんの負担を軽減できるように考えているからです。
電源部の重要性
オーディオアンプは電源が重要ですし、問題点でもあります。その理由は、オーディオアンプの基本原理は、電源エネルギーをオーディオ信号で変調して、オーディオ信号を増幅して、スピーカーから音を出すからです。(Dクラスアンプは高周波で電源をスイッチングして、LCフィルターでオーディオ信号をろ過して取り出します。)
従って、リップル(整流しきれない交流成分)や電磁波ノイズがアンプ供給する電源成分に少しでも混入しては、著しくサウンド品位を落とします。
けれども、実際にはリップル成分がない電源を用意することはやさしいことではありません。交流電源からDCに整流する際、従来の回路ですと必然的にリップル成分、電磁波ノイズ成分がグランド回路に流れ込みます。
この大問題を解決するのが完全バランス増幅回路です。
具体的には、アドバンストZバランス増幅回路では電源回路がバランスフローテイング回路となっていますので、パワーアンプからスピーカーにリップル成分が流れ込むことが原理的にありません。
通常のハーフブリッジアンプでも、マスターズが採用しているXカレント回路にしますと、上記のような問題からフリーになることができます。
また、究極の方法として、電源電圧に12Vと制限がありますが、バッテリー電源駆動は清澄なサウンドが得られます。但し、バッテリーの電源供給能力は車用で100A以上ありますから、絶対にショートさせない注意が必要です。
Zバランス回路アンプをバッテリー電源駆動の場合でも、清澄さでは、交流電源からの整バランス電源方式よりもバッテリー電源が上回ります。
トランスのこと
トランス採用のパッシブプリアンプは大好評をいただいております。
通常のAC電源を採用したプリアンプとは決定的に違うサウンドです。電源不要ですから、電源や電磁波等による厄介な問題がまったくありません。また、パッシブプリアンプではノイズやひずみの発生がありません。
また、採用しているスーパーパーマロイコアは磁性体そのもの磁化特性が優秀で、ひずみの発生はありません。但し、磁性体は磁化されたときの振る舞いが絶好調になるには、ある程度のエージングが必要です。使いこなすことによってさらにサウンドパフォーマンスは向上します。この現象は、微視的には電子顕微鏡等で微少磁性体(磁区という)のふるまいを観測できるといわれています。
NFB設計
NFBは理論通りに作れば、大変有効です。けれど、現実のオーディオアンプでは、位相とゲインとの兼ね合いで、NFBは高域では位相のずれた形で掛かることになり、正弦波では良好でも、過渡信号では問題を引き起こします。
このあたりがNFBアンプのキーポイントです。
まずはオープンループ特性の周波数・ゲイン・スルーレート(高域パワーバンド)との関係を検討して設計・製作すれば、良好なアンプになります。
また、意外と無視しがちなことは負性抵抗によるアンプの超高域不安定性です。これは負性抵抗を打ち消す抵抗を付加すれば、アンプは安定動作となります。特にエミッタフォロア―回路には負性抵抗打消し用エミッタ抵抗付加は必須です。