フォノイコライザアンプ“MASTERS PH-102シリーズ”のお話です。
API 2520の改良版は評判が良く、これまで多くの受注をいただき、ありがたく思っております。
これまで、オーソドックスなNFBによるRIAAイコライザーとなっておりますが、お客様からのリクエストにより、鋭意いろいろ検討を重ねております。
具体的には、NFBだけでなく、CRタイプも入れ込んだ、いわばハイブリッドタイプのRIAAイコライザーの試作をおこない、CR-NFタイプを完成し、ご希望ならばオーダーを承ります。
また、これは、開発中ですが、NFBの振る舞いとして、ある意味、理想的なインバートNFB方式のフォノイコライザーを検討しております。
パワーアンプではJBLがさきがけし、良好なサウンドで今もってJBL SA-600のプリメインの評判が高いです。そのようなインバートNFBアンプをバランスアンプにしたというべき、サンスイのXバランスは、もう20年以上も好評を持続しています。
振り返って、フォノイコライザーでは、インバートアンプ方式に検討なく作ると、入力インピーダンスを大きくするとカートリッジの最適マッチングインピーダンスから外れるし、また、ゲインを大きくしようとすると、NFB抵抗が大きくなりすぎ、NFBインピーダンスが高くなり、外部誘導を受けやすくなり、この限度は10MΩといえます。
この範囲で、検討すると、インバートNF型のフォノイコライザーアンプはゲインが26dB程度でMAXかな?とも思います。
ともかく、差動アンプ方式のフォノイコライザーはまだありません。世界初になるかもしれないと思っています。
後段のラインアンプのゲインを26dB程度とすれば、プリアンプとしては、ゲインは問題なくなります。そのような構想で、フォノ入り、新型プリアンプを考えています。
いろいろな可能性を考えるのが、マスターズ流だと自負しております。
APIモジュール改良マスターズオリジナル2520Nアンプユニット採用フォノイコライザアンプ“MASTERS PH‐102/AP”は大変にご好評をいただいております。
私自身聴いてみて、とても乗りの良いサウンドです。明るい気持ちになれます。
今回は1台しか作れなかったMCトランス内蔵フォノイコライザ“MASTERS PH-102/AP/MCT”を発売しました。
MMカートリッジはいうまでもなく、内蔵のMCトランスはタムラ製・オルトフォン系・DENON・EMT系に対応します。情報が多くしなやかで充実したサウンドは素敵です。格好はかわいいですが、電源シャーシは別で、S/N比、残留ノイズも優秀です。できるだけ経済的負担の少ない金額でお求めいただけるように配慮致しました。
イシノラボの製品は、ユーザーの皆様や同業者から、「安価でありながらとても性能が素晴らしい」とお褒めの言葉をいただいております。
オーディオ・コンポのユニクロ以上を目指したいと思います。具体的には、“すばらしい性能”・“買いやすい価格”・“日本製”・“ハンドメード”・“サービス対応の良さ”をモットーにしております。
わたしはそれほど若くはないので、皆様のオーディオ・音楽・愛好のサポータになれれば、これこそが最高の生きがいです。オーディオ、とりわけ、アンプについては、得意分野と自負しておりますのでご相談下さい。真空管アンプから、半導体アンプ、デジタルアンプ、それにコンデンサSP向け等の用途、お手持ちアンプの改造にも対応致します。また、特注トランスのご要望にもお応えいたします。
フォノイコライザーアンプとAPI改良型アンプユニットについて
このところ、零細規模ゆえに多忙で、なかなかブログが書けなかった状況でした。
今年の景気の悪さは昨年よりもひどいという状況と感じているお方は多いのでないでしょうか。特に、わたしの周辺でも雇用関係で大変になっている方も少なくありません。
そのような状況でも、オーディオを楽しみたいという方は減るという感じではありません。むしろ、少しづつ増えている感じがします。
その代わり、価格の高いものはなかなか売れないようです。イシノラボは、ずっと、良心的な、コストパフォーマンスの高い製品の提供を心がけております。最近は、お財布の負担が比較的軽いフォノ・イコライザーアンプのご注文が増えています。例えば、フォノイコライザアンプ“MASTERS PH-102シリーズ”です。
また、アナログ・レコードを楽しむ団塊ジュニアの方も少なくありません。
MCカートリッジの価格がせめて、DL-103並みの価格であれば、もっとアナログレコードファンは増すでしょう。
ご注文を受けたフォノ・イコライザーアンプのアンプユニットはAPI改良型を指定する方がほとんどです。
このフォノ・イコライザーアンプのサウンドは音楽の乗りが良く、POPSやジャズ系の音楽に向いていると思います。
その秘密は、当たっているかどうかは別として、差動2段+差動プッシュプルという、回路技術者が判断すると、3段増幅回路という難しく、ユニークな回路を採用しているところにあると考えています。
3段増幅回路は普通に設計すると、発振安定度に問題を起こします。そのあたりを綿密な位相補償回路の分析と計算により克服して成り立たせています。
このあたりが、IC OPアンプと全く異なることですし、一般的に広く採用されている2段差動回路とも違うところです。あえて、この回路を考えたAPI創業者のエンジニアに敬意を表します。
この回路に類似するものと言えば、おおげさに言えば、サンスイの07シリーズアンプ以外にないでしょう。
初代のAU―607/707はAPI回路と共通点があります。同じように、3段増幅回路といえましょう。さらに、専門的に言うと、2ポール位相補償回路という自動制御に採用される回路で動作安定度を確保しています。
サンスイはその後、ダイアモンド差動回路、スーパーフィードフォワード、Xバランス回路と発展しましたが、その基本の3段増幅回路と2ポール位相補償という基本は最後まで継続して終りました。このような意味からもAPIモジュールの入手が困難なとき、この回路ユニットを改良して作りたいという努力は、少しは皆様に評価されたかな?と思っております。
これから、11月もあっという間に過ぎ、年末になることでしょう。イシノラボは、価格に応じた特注アンプにも応じられます。“これだけの予算で作って!”というリクエストもどうぞお寄せください!