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店長が日々感じたことを、オーディオエッセイ風に綴ります。開発日誌、コラムなど、様々な内容を情報発信しています。
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特別ご提供品プリアンプ“MASTERS CA-888BL/PHcustom”

特別ご提供品プリアンプ“MASTERS CA-888BL/PHcustom”をエージングを兼ねていろいろ聴いてみました。

特別ご提供品のMASTERS CA-888BL/PHcustomは1台限りで作ったので、やってみたいことを搭載した意欲的なプリアンプです。

そのユニークなワイドユース

  1. API2520フォノイコライザー回路を搭載しました。APIでは2520の出力を自社製(API)のライントランスでバランス出力することを想定しています。このトランスは山水在籍時、アメリカ出張の際、現地で購入したもので、それから長期間、私の机に中で眠ったままになっていました。ずっと、いつか使ってみようと思っていたバランスライントランスです。このトランスはけっこう大きく、APIコンソールにフォノイコライザーとライントランス含めた基板ユニットになっていました。今回は、付属回路を削除して、フォノイコライザーとライントランスでフォノスター時をまとめました。ですから、フォノバランス出力だけを使うことが出来るようにフォノEQ出力スイッチを設け、ON/OFFできるようにしました。このバランス出力をバランス増幅プリアンプないし、ボリウム付きバランス増幅パワーアンプに接続すれば、バランス増幅アンプでプロ用仕様でAPIユニットのパフォーマンスを楽しめます。
  2. MCカートリッジ対応はタムラ製MCトランスを内蔵しています。昇圧比は20倍とオルトフォンタイプには少し昇圧比が足りないですが、APIフォノステージのゲインが充分あるので、使えます。また、デノンdl103タイプ、オーディオテクニカの12Ωインピーダンスカートリッジも充分使えます。。
  3. もっとも、1項のようなことをしなくとも、このプリアンプはバランス増幅ラインアンプを内蔵しているので、スムーズな信号の流れで、バランス伝送・バランス増幅サウンドが楽しめます。

ヒアリング感はどうか?

  1. CDが登場して35年、そのサウンドの限界は皆さん、感じていると思います。けれども、CDの良さは取扱が簡単、長時間楽しむことができる特長があります。SACDになればそれなりにサウンドは改善されますが、やはり、何か違和感あるサウンドなのはアナログレコード、テープを聴いてしまうと、わかってしまいます。今更、アナログレコードに戻ることはできませんが、手持ちのレコード在庫で充分楽しむこと、レコードの表、裏をひっくり返す面倒を我慢すれば、そのスムーズなサウンドが、やはりこれが本当のサウンドではないかと感じてしまいます。
  2. 幸い、私のようなレジェンドオーディオ人間は、ある程度の数のカートリッジをいろいろ持っているので、交換して楽しむこともできます。

ヒアリング時の接続はフォノイコライザーのバランス出力をZBバランス増幅パワーアンプに接続しています。

MMカートリッジで聴く(カートリッジ:ピッァリングMP/AC)

このカートリッジは当時、安価(当時¥6,300)で、出力が高く(6mV)、針圧が4g-6gと高く、どちらかと言えばDJ用とされたものですが、あえて、入手してみてその素直なサウンドに気に入っています。どのレコードを掛けても、そのサウンドバランスは中庸で聴き疲れすることがありません。このプリアンプで聴くと、さらに、さわやかで、分解能良好のサウンドが聴けます。シンフォニーのような大規模な音源では、更に気持ち良いサウンドが聴けます。混濁感など、皆無です。当方で販売していた“フィメールボーカル”の本来のアナログレコードでは、さらに密度濃いサウンドが聴けてしまいます。

MCカートリッジで聴く(カートリッジ:オルトフォンMC ROMAN)

このオルトフォンカートリッジはSPUよりもさわやかで切れ味が良いカートリッジです。すぐ、フィメールボーカルアナログレコードで聴いてみました。
まずはガッツな行方サウンドが奥村チヨ、渚ゆう子が聴き取れます。この感じはボーカルがそう聴こえるのではなく、カラオケ(バックオケ)のサウンド処理が素晴らしく躍動感にかられます。このあたりはCD版“フィメールボーカル”はアナログレコードにかなわない感じです。
我田引水かもしれませんが、APIのスタジオサウンドの味わいがこのレコードに合致したのかも知れません。このプリアンプではMCカートリッジで聴く限りクラシックよりもポップス、ジャズのほうがぴったりすると感じております。

そう言いつつ、クラシックのシンフォニーではワルター指揮のコロムビア交響楽団(レコーディング用に編成したオケでストリングスが2プルト:4人編成で非常に少ない)でベートーベンの“田園”を聴くことにします。この録音はともすればハイ上がりバランスになりがちです。けれども、出てきたサウンドは編成が少ないだけに各部の動きがこの接続では聴き取れ、美しいカルフォニアサウンド(カラッとした切れ味の良い)を味わいました。このパフォーマンスはこのプリアンプのおかげが大分あるように感じました。久しぶりにこのようなサウンドを楽しみました。


2016年のイシノラボはどうだったか?

明けましておめでとうございます。
年々、時の移ろいが早くなるのは加齢によるものでしょうか?
けれども、私は自分なりにもがいて、日々を過ごしていますが、これがストレスにはならず、生きがいになっているのかも知れません。

皆さんから見たら、我田引水、自己陶酔、手前みそと思えるでしょう!
マスターズブランドアンプとしてささやかな進歩と言うか、進展と言おうか、おずおずと書き出してみました。

2017年はどうなるか?それはこれから、準備を始めております。
そして、皆さん、まずは心身の健康を維持しつつ、日々を生きましょう。

Zバランスパワーアンプの進化

バランス増幅を達成し、次は、パワーステージはL/Rバランス電源構成、電圧増幅(プリドライブ・ステージと言う)は別電源、トータル3電源構成で、より、Zバランス回路は進化し、より、表現力豊かでパワフルサウンドとなってきました。

これまで、RCA入力については、いったん、RCA~バランス変換回路と通して、Zバランス回路入力に導いておりました。
いろいろ検討した結果、RCA入力においても、ダイレクトにZバランス回路に入力し、バランス信号入力時とまったく同様なバランス増幅をおこなうことができるようになりました。
プリアンプ、CDプレーヤーの出力がRCA出力で、バランス入力時と同じZバランス増幅のパフォーマンスが得られます。
アドバンストZバランス回路として、紹介しております。

Zバランスプリアンプの完成

フルバランスプリアンプ“MASTERS CA-888PZBシリーズ”として製品化

Zバランス・プリアンプができないものかと、ずっと考えておりました。かつて山水に在籍して、C-2301開発時、ラインアンプの方式について悩みました。
結局、ラインアンプは非反転アンプをHOT側、その出力を反転アンプに導き、COLD側として、商品化致しました。
それから、プリアンプのバランス増幅が気になりながら、山水からリタイヤ―し、それから、長い年月が流れました。
マスターズブランドのプリアンプとして、究極のローノイズ、低ひずみ、そして、優れたサウンドであるトランス式パッシブプリアンプに活路を見出し、多くの皆様に支持を頂いております。
その一方で、アクティブ素子プリアンプとして、Zバランス回路を搭載したアンプの検討を続けて参りました。
ようやく、Zバランス増幅プリアンプとして製品化でき、大好評をいただいております。そして、トランス式パッシブプリアンプにノイズ、低ひずみについてはかないませんが、Zバランスプリアンプの、アドバンストZバランスパワーアンプと組み合わせたときのサウンドパフォーマンスの気持ちよさは、驚きます。どうして、そうなるのかは分かりません。

私は以下のように考えています。
すなわち、私は、2016年、オーディオ誌にオーディオを味覚に例えて、“電気的特性は栄養価の表示のようなもので、そこからは味の良さは分からない。”と記述しました。確かに、現在のオーディオ技術では、電気的特性で音質の表現はほとんどできません。

さらに、ヘッドフォンのバランスドライブもそのままの回路構成でできます。
但し、Zバランスプリアンプの出力は純粋にバランス出力だけになるので、
Zバランスプリアンプ出力からアンバランス(RCA)出力を取り出すことはできません。
また、このプリアンプは、リーズナブル・プライスで製品化が可能となったと思っております。

ファインメットパッシブプリアンプ

ファインメットコア搭載トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-777BC/FM”,バランス型トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FBG/Pとして製品化

ファインメットコア材については、オーディオ誌“管球王国”で活躍しておられる“新さん”がその優秀性を広報して数年以上を経て、高級真空管アンプにトランスとして、良好な評判のようです。

マスターズとして、始まりは、2015年12月に、あるオーディオファンからのリクエストで何とか製品化ならないものかと言う問い合わせがありました。
私のほうはまったくファインメットコアを入手するあてがなく、このお話はそのままになってしまいました。
そのあと、いろいろと探したところ、タムラ製作所の事業所近くのコア加工会社と連絡が取れ、社長さんとお話したところ、タムラ製作所にコアを永年納入実績があったとのことでした。

コアサイズ等を検討し、ファインメットコアをカットコア形状に加工いただき、2016年1月にファインメットコアを2個、入手できました。さすがに、安くはありません。
当然、磁性材料としての電磁特性は最高と言えます。肝心のサウンド(音調)は明るく、パワフルでいて、細部の分離表現は見事です。大編成の音源で混濁するような気配は微塵も感じられません。
すでに、数名の方がお使いになっておられます。

パッシブプリアンプでヘッドフォンが聴ける!

すでにブログ「MASTERSのパッシブプリアンプでヘッドフォンが聴けます!」に記述したように、CA-999FBG/ACを購入なさった方からの報告に始まりました。まずは本当に聴けるのか?
本当に良いサウンドで聴けたのです!
次に、電気的特性で、使える特性が出ているのかを調べました。これもOKでした。
そこで、私のところにある視聴用パッシブプリアンプでいろいろテストし、2週間前には、ファインメットコアのトランス式パッシブプリアンプにゼンハイザー(150Ωインピーダンスのヘッドフォン)で聴いたところ、さらに、すっきりした、切れ味良いサウンドが楽しめました。
近々、ヘッドフォン端子付きファインメットコア搭載パッシブプリアンプを製品化しようと考えています。

多数個ケミコン効果

多くのアンプの電源部にはケミコンが使われています。ケミコンはその内部構造から、超高域まで、電源インピーダンスを低く保持するのは簡単ではありません。けれども、そこまで考慮しなくともアンプの動作は特に問題ありません。
けれども、そのケミコンにより、アンプのサウンドに影響を与えているのは事実です。

1979年代、オーディオ全盛時にはケミコンメーカーはケミコン、とりわけ、整流ケミコンのおおもとであるブロックケミコンのサウンド改善に熱心に取り組みました。
ニチコンは山水にオーバル(楕円)型ケミコンを提案してきました。その中身は、円柱状に巻いたケミコンユニットから太い電極端子(タブと言う)を数本引き出し、電気的に超高域まで等価電源インピーダンスが低くキープされるというものでした。AU-D907に採用され、好評を得ました。
また、ケミコンに詳しいオーディオ評論家、故 金子秀男さんは日立コンデンサ等のケミコンメーカーと共同で、高音質ケミコンの開発に取り組んでいました。その成果がAUREXをはじめとするオーディオブランドのアンプに一時、採用されました。
結果は悪くはなかったですが、コストがかさみ、1990年以降は尻つぼみになってしまいました。
ケミコンメーカーは、納入数が少ないオーディオ向けより、当時から発展してきたスイッチング電源用ハイリップルケミコンのニーズが爆発的に増えて、オーディオ用ケミコンの開発改良は、その時点で終焉を迎えたと言ってよいでしょう。
そして、驚異的なハイエッチング技術の開発により、ケミコンは飛躍的に小型・大容量化して、工業用電源への用途が大多数になりました。
この進歩は静電容量が取れるもののケミコンの抵抗成分は増えているのです。
それ以来、電源用ケミコンのオーディオ分野での進展はなくなったと言ってよいでしょう。

マスターズアンプでは、オーディオ全盛時のケミコンを在庫し、優先的に使ってきました。
そのようなとき、2016年7月、長時間聴いても疲れない、そしてサウンドが絶対混濁しない、ほぐれた感じのアンプを作って欲しいとのリクエストを受けました。
その注文した方の用途は、1日12時間以上使うジャズバーで、アナログレコードを主体にジャズをJBLスピーカーで流すとのことでした。
そこで、個別ケミコン(ぜいぜいφ35くらいまでの)を多数個、また、ブランド、容量を替えて、トータル24個でそのアンプの電源部を構成してみました。アンプの電源部はこれらのケミコンでいっぱいになりました。これらを並列接続して、電源部が完成しました。
もちろん、ケミコンだけでなく、超高域の低電源インピーダンスのキープにフィルムコンも並列に接続しました。
この状態で、長時間エージング後、聴いてみて、私はそのしなやかで、まったく混濁のないほぐれた音調には驚きました。
パワフルさを出すには大きなブロックケミコンは効果があるのはこれまでさんざん経験済みですが、この年になって、このようなシンプルなアプローチでの体験は新鮮でした。
また、安定化電源でこのアンプを動作させてみましたが、このような音調は再現できませんでした。
以後、マスターズアンプは、φ20~30程度のケミコンを置くスペースが少しでもあれば、多数個ケミコン電源構成を実践しております。

パーマロイOPTによるサウンド

限定数のパーマロイコアによる出力トランスは好評で、あと2台分を残すのみになりました。
何と言っても、断然のひずみの少なさは、電気特性がヒアリング結果と相関が高いということは明言できます。多くの真空管アンプに感じられるおおらかさよりも、楽器、ボーカル等のサウンドの細やかな表情が聴き取れます。
その意味から、朗々と耳から血が出るようなALTECサウンドにはあまり向かないと思います。
それよりも、B&W、KEFのようなヨーロッパのひずみの少ない、音響研究が進んだスピーカーに合いそうです。かつて、スピーカーは進歩が遅いと言われ続けてきましたが、近年のヨーロッパを中心として、スピーカーメーカーの研究、検討成果が製品に反映されていると思います。
特に、キャビネット形状、キャビネット内の定在波処理、キャビネットの振動防止処理などなど素晴らしいと思います。唯一の難点は価格が高いことです。¥100万以上出さないと、これらのスピーカーは買えない。
思わず、愚痴が出てしまいました。

パーマロイコアにより、出力トランスをうまく設計し、合致した真空管回路で真空管パワーアンプを作れば、これまでにない音調のアンプができます。
イシノラボでは、残り少ない限定出力トランスの後継トランスの開発に時間が少しかかるかもしれませんが、努力する方針です。

アクリルプレートケースの素晴らしさ

2016年はアンプ型番の変更、デザインの変更があり、少なからず、戸惑いを覚えた方もおられると思います。
大友デザイナーの優れた感性と工夫により、輝かしいフロントパネル、それに何度も研磨、塗装を施して作られたサイドウッドのケースが、マスターズアンプに採用されております。このケースを採用したアンプは、アンプ型番にG文字を入れております。
透明アクリルプレートでブラッシュアップされたフロント面がつややかで、美しく輝いております。
マスターズアンプのような小規模ブランドにおいては、このケース作りは大友デザイナーの手仕事により生み出されています。
オーディオは観て、触れる楽しみは、少なからず重要と思います。
まだ、まだ、名人、大友さんは健在です。
ちなみにメーター付きアンプをご覧ください。

MASTERS CA-707 custom
プリアンプ MASTERS CA-707 custom

MASTERS CA-707 custom
プリアンプ MASTERS CA-707 custom


フルバランス増幅真空管パワーアンプ“MASTERS BA-218FBG/P300B゛

BA-218FBG/P300Bを製作致しました。

BA-218シリーズのパーマロイコア出力トランスと300B

これまで、BA-218に300Bを搭載するカスタムアンプは何回か製作してとても良好なサウンドが得られています。

今回、パーマロイコア出力トランスと300Bを採用したのは初めてです。

パーマロイコアの特長

これまで、何回か述べましたが、パーマロイコアの特長は透磁率が高く、その結果、感度に優れ、ひずみが少ないことが挙げられます。但し、コアの価格が高く、また、オリエント材に比べ、最大磁束密度が低いので、パワーアンプに採用するとなると、巻線を多くする必要があります。

パーマロイコアは、聴覚的に考えると、微小レベル、ひずみ感の敏感な領域で、優れた性能を示すと思われます。ビジネス的には、どうしても価格がアップするので、真空管パワーアンプでは、オリエント材の出力トランスがほとんどとなっています。

一方、電圧増幅用のトランスでは、ひずみ性能において、パーマロイコアが採用されています。MCトランスでは、パーマロイコアの採用が大勢です。

BA-218FB/Pへのパーマロイコアトランスの限定採用

限定数のパーマロイコア出力トランスが入手可能となり、すでに、あと3台分のトランスが残るときに、Sさん(初めてのお客様)から、フルバランス増幅真空管パワーアンプ“MASTERS BA-218FB/P”に直熱3極管を採用したいとのリクエストがありました。さらに話が進んで、300Bにしようということになりました。そのうえで、パーマロイコアトランスを搭載することで、話がまとまりました。

具体的には、BA-218FB/Pに300Bを採用するとなると、EL34の3極管接続はバイアス電圧-38V程度で動作するのに対し、300Bは増幅率が低く、バイアス電圧は、プレート電圧400Vにおいて、-80V~-84Vと深くなるので、電圧増幅回路に工夫を凝らさねばなりません。具体的には、高い電圧での増幅において、クリップすることなく、ひずみレベルを良好にすることが必要になります。

そこで、初段管は増幅率が高い12AT7(ECC81)として、低ひずみ動作になるように、電源電圧、カソード抵抗、負荷抵抗を決定しました。

12AT7(ECC81)はRCA、GE、松下と、さらに、◇マーク付きのテレフンケンをテストしたところ、ひずみ、ノイズ特性で、◇マーク付きのテレフンケンがベストの結果を得ました。やはり、定評ある真空管の性能を確認出来ました。

そのうえで、充分なスタガー比を取ったうえで、クロスフィードバックを3dBと軽く掛けました。
300Bは直熱3極管ですから、ヒーターはハム防止から、DC点灯は必須です。そのうえで、ヒーター電圧は4.6Vとわずかに低めとしてあります。このようにすると、300Bのライフは大幅(50%程度)伸びると言われています。

このような検討と製作を経て、アンプが動作し始め、いよいよ最終調整に入ります。フィードバック量の少ない真空管アンプは、アンプのオープンループゲインに、仕上がりゲインは座右されます。従って、L/Rチャンネルのゲインを揃えることは、バイアス条件との兼ね合いがあり、調整ノウハウが必要です。

最終的にL/Rゲインは±0.1dB以内に入り、残留ハムノイズは0.3mVレベルに収まり、かつ、ひずみ特性はヒアリングレベル(1W)で0.06%以下と極めて優秀な特性が得られ、かつ、最大出力は20W+20Wをクリアすることが出来ました。
こうして一応の完成をみて、次は長時間テストを実施し、8時間程度を3回繰り返しました。この期間、同時にヒアリング致しました。

出力トランスコア、コンデンサ、真空管はエージングを施すことによって、サウンドが安定し、サウンド品位も向上します。

聴いてみる

まずは、クラシックからです。今回の音源はDECCAの名プロデューサー、ジョン・カルショウの名作品を集めたCDとしました。

当時のウィーンフィル、そして、レコーディングロケーションとしてベストなゾフィエンザールの音源です。

特に、混変調ひずみが音響的にも発生しやすい、オペラのコーラス、オケ、独唱者たちが一斉に音、声を出す部分の分離度と奥行き感に留意して聴き始めました。

まずは透明でしみわたるサウンドはこれまでの真空管アンプにないサウンドです。
そして、グランカッサの一撃にも全体の音場は全く乱れず、圧倒的でした。

次に、ソプラノによるオペラアリアを聴きました。特に、往年の名ソプラノの響きの清純さに聞き入りました。

さらに、オーディオアクセサリー誌の付録の女性3重奏(ソプラノ、メゾソプラノ、アルト)による教会デモボーカルを聴きました。レコーディングがシンプルなせいか、アンプによるものか、教会内で、天上からの響きと思えるくらいの女性ハーモニーに浸れます。

特に、モーツァルトレクイエム“ラクリモサ”では、思わず涙ぐむほどの感動を覚えました。

次は、ジャズ音源を聴くことにします。いつも聴くチャンスが多いのは、ビル・エバンストリオの“ビレッジ・ヴァンガード”でのライブCDです。お客さんからの、お皿をぶつける音が何とリアルなことか。また、各楽器の分離感は素晴らしい。このアンプの音調は、どちらかと言うと寒色系のすっきり感を覚えます。

よく、真空管アンプはゆったりしたサウンドと言われますが、この300Bアンプはそうではありません。和食の料理人が包丁で切った“お造り料理”のような切れ味を感じます。
ともかく、これまでの多極管アンプのサウンドとかなり違います。むしろ、よく作られた半導体アンプに磨きをかけたようなサウンドと私は感じました。

オーディオにかかわって、半世紀になりますが、まだ、まだ、経験不足を感じるし、興味深い現象に出会います。

そして、このアンプはSTAXイヤーSPをドライブするようにすることも可能です。おそらく、素敵なSTAXサウンドが出てくるでしょう。

素敵なフォルム

撮影した画像に示すように、アクリルプレートのフロンパネルに、アンプ上面には300Bが輝きます。割と、コンパクトなサイズにも収めることが出来ました。

興味のある方は、どうぞ、ご一報ください。

MASTERS BA-218FBG/P300B
フルバランス増幅真空管パワーアンプ MASTERS BA-218FBG/P300B

MASTERS BA-218FBG/P300B
フルバランス増幅真空管パワーアンプ MASTERS BA-218FBG/P300B

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