2011年もご愛顧頂きましてありがとうございました。
2011年の活動を振り返ってみたいと思います。
- 使い易いパッシブプリアンプ
昨年は、狭くて決して綺麗でない工房に来訪して下さる方が多かったことに、お礼申し上げます。
ところで、パッシブプリは、大勢の方に聴いてもらう広いスペースでの再生は、細やかな表情の再生を聴き取るには、充分な良さを感じ取るのにベストとは言えません。皆様が楽しむ音場は4.5~14畳くらいのスペースが充分と思います。また、ユーザーの方から、“電源不要なことが、これだけピュアなサウンドになるのだと実感!”という声を良く聞きます。ニア・フィールドリスニング、ヘッドフォンリスリングにも最適と言えましょう。
また、真空管パワーアンプを使用されている方にもパッシブプリユーザーさんが数多くおられます。真空管アンプのおおらかなサウンドに、繊細さが加わったと言われます。そして、“バランスタイプとアンバランスタイプのどちらが良いか?”という質問も良く受けますが、バランス増幅アンプならば、バランス型トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FBS”をお勧めします。バランス増幅特有の重心が落ち着いたサウンドが得られます。バランス型トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-777S”ですと、軽やかで、繊細、高分解能が良く聴き取れます。“どっちも欲しい!”というお方(S.Hさん)は両方を購入いただきました。
- STAXイヤーSPの聴き方の拡がりとヘッドフォンリスニング
有限会社STAXは、最近、中国の会社と提携することになり、経営が安定することと思われます。できれば日本の会社との提携を願うところでしたが、これもいたし方ないところでしょう。STAXのイヤースピーカの製造現場を見学させていただくと、防塵ルームで、超細かいほこりやちりを丹念に取っている作業、また、振動膜をあざやかに張る作業は繊細で気配りある日本人にはぴったりです。いつまでも日本生産を続けて欲しいと願っております。
マスターズでは、STAXイヤースピーカをSTAXさんの専用ドライバーアンプとは別の観点からの再生を目指してきて、一昨年から、何台かのSTAX用アンプを製作・納入できました。2011年は、さらに進展させ、純真空管構成で、500Vrms以上の最大電圧をSTAXイヤースピーカに供給できるようになり、楽々とドライブできるようになりました。副産物として、通常(動電型)のヘッドフォンをバランス・ドライブすることもできるようになりました。動作原理がまったく異なるヘッドフォンを両方聴けることは、さらなるオーディオの楽しみが倍加することでしょう。STAXイヤースピーカ/ヘッドフォン バランスドライブアンプ“MASTERS SX−3000BD”として製品化しました。
2012年には、半導体アンプで聴けるようにしたいという声に応えて、製品化する予定です。このアンプは、製品化に先駆けて、すでに2011年11月30日のブログで新型・多用途プリメインアンプ“MASTERS AU-900STAX/HP”としてご紹介いたしました。この方式ですと、性能は落ちることなく、よりお求め易い価格を実現できます。
- これ以上ピュアな再生方法がないバッテリードライブアンプ
100V電源が汚染されていたり、波形ひずみが多いことは、これだけデジタル技術、コンバータ技術等が進歩すると、その副作用として発生するのはある程度仕方のないところです。そのような状況下で、対策ケーブル等がにぎやかです。中にはアンプの価格を越えるものがあり、“それは行き過ぎ!”と思うのは、わたしだけではないと思います。100V電源汚染をクリーンにするのは、柱状トランスからとか、新たにアンプで100Vを作る電源くらいにしないと、なかなか効果がでるものでないと感じています。その点、バッテリー電源はまったく100V電源の影響は受けず、その電源インピーダンスの低さは驚異的です。なぜなら、エンジン始動には100A以上の電流が流れます。このような大電流に耐える家庭用電源、アンプ電源はありません。難点は、12V電圧ですから、MASTERSのような±12Vで動作するようなアンプが必要なことです。バッテリー価格は、車用が多量に販売されて、その性能に比べ、大変、お安いと思います。使い方、充電等については、アンプの発送時に十分に説明させていただきますし、2010年4月6日のブログをご覧下さい。
2012年もよろしくお願い申し上げます。
プリメインアンプ“MASTERS AU-880L”は10W+10Wのパワーで、横幅330mmのコンパクトなプリメインアンプです。
発売して半年くらい経ちますが、パッシブプリアンプの影に隠れて目立たない存在でした。けれども、自宅でこのアンプを使ってみて、そのパーフォマンスの高さには驚きました。おそらく、世界一、残留ノイズが少なく(LPF80kHzで30μV以下)、ひずみも極小、ワイドレンジで、全くと言って良いほどノイズが少なく、これまでノイズに埋もれてしまった音楽、オーディオ情報を聴ける、その清らかな印象は注目に値します。しかも、アイドリング状態の消費電力は3W、1W程度の大きいサウンドで動作させても、5Wの消費電力にもびっくりです。ちなみにEL34pp真空管アンプでは160Wくらいの電力を消費します。
クラシックでも微妙なホールの空気感、スタジオ録音での、隠し味に入れた微妙な細かいサウンドも聴こえてしまいます。打ち込み音楽でも、ミュージシャンがリスナーには聴いてもらえないような細かいサウンドも検知できてしまいます。
思い切って、3年ぶり?くらいに、“オーディオ・アクセサリー誌 141号”に、このアンプをヒアリング評価に提出してみました。135ページをご覧になると、私が感じていた以上のヒアリングライターの方のコメントが読めると思います。マスターズのような零細なブランドでも、きちんと評価頂いたことにありがたく思っております。
さて、オーディオアンプの仕様で、S/N比について記述されることがあっても、残留ノイズの記載はあまりされません。例えば、8Ω/100Wのアンプで、90dBのS/N比というと、このアンプの残留ノイズは28.3V(100Vの出力電圧)×0.000033≒0.93mVです。ユーザーの方の再生出力は大きい音のときでも、せいぜい1W(8Ω/2.83V)です。そのときの上記アンプを聴いているときのS/N比は、0.93mV÷2.83V≒0.0032→70dBに低下しています。簡単にいうと、最大出力の1/10のパワーで聴けば、20dBもS/N比が低下します。この0.9mVに貴重な音楽情報が埋まってしまっているとも考えられます。
AU-880Lでは、残留ノイズが30μV→0.03mVですから、1Wで聴いたとき、S/N比は100dBを超えます。優れたS/N比ですから、これまでノイズに埋もれた、聴こえないサウンドが聴こえてくるのです。特に、高効率スピーカをお使いの方は、本当の音楽情報を聴き取ることができます。
究極なところでは、MASTERSのパッシブプリアンプである、“MASTERS CA-777S”や“MASTERS CA-999FBS”ならば、プリアンプの残留ノイズはゼロで、音楽情報が全て再生されます。
3月11日の大震災の復興は長い道のりです。先週、皆様のおかげで第3回目の寄付をすることができました。微力ですが、継続していくつもりです。また、被災地地域の方に、早く働く場ができることを願っております。
一方、放射能騒ぎには、日本人の潔癖さ、細かさが、マイナス要因になっているように感じます。ともかく、長期、微量の放射能被爆の医学的データが無く、あるのは、チェルノブイリでも、長期被爆で亡くなった方がいないという事実です。むしろ、そのためのストレスで、放射能被爆よりも免疫力低下によって、DNAが変化してガン化することを憂慮します。将来のある乳幼児の方は、B型肝炎のように30年後に発病することもあるかも知れませんが、少なくとも、60歳以上の方はふるさとの地で、ゆうゆうとお暮らしになることが良いと思っております。わたしが、そこに住めといわれたら、住んでもよいという気持ちです。皆様、もっと、おおらかに生きていきましょう。そして、楽しいオーディオで毎日を過ごしましょう。
最近の注目点として、秋葉原では、ガイガーカウンターが¥49,800くらいで売れています。¥13,900で、ガイガーカウンターのキットも販売されています。ガイガーカウンターは夜光塗料にも反応します。やるせない気持ちです。
3月11日の悪夢から、1ヶ月近く経とうとしておりますが、復興は、まだまだ長期戦です。福島の原発は、見守る以外、我々はなすすべもありません。けれども、我々が1950年代、太平洋、ゴビ砂漠で頻発におこなわれた核実験で受けた放射能被爆量に比べたら、おそらく6桁くらい低い水準だと思い起こします。
乳幼児、妊婦の方以外は心配することはないと思っております。それよりも、たばこ、酒の飲みすぎのほうが、はるかに、はるかに不健康です。
イシノラボ売上の一部をJNN募金させていただきました。これから、毎月募金するつもりでおります。
当方の工房の消費電力は、昨年同月比で-18%の節電となりました。これからの6・7・8月の盛夏をどう乗り切るかです。少なくとも暑い時期は、半導体、省電力アンプやパッシブプリアンプ(MASTERS CA-777S・MASTERS CA-999FBS)の出番です。
そして、このような受難の時期は、張り詰めた気持ちだけではストレスで参ってしまいます。好きな音楽を好きなサウンドで楽しむのは、とても心身の健康に有益と思います。
最後に、昨年末あたりからカスタム製作を依頼されたパッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FB SUPER A CUSTOM”は、ようやくでき上がり、納品出来ました。このパッシブプリアンプは、バランスタイプ、それにトーン回路も搭載している盛り沢山の内容です。写真に示すように、それなりに格好良くでき上がったと思っております。
現在は、バッテリードライブによるカスタム・バランスパワーアンプを製作中です。もう少しで完成します。
ご自分だけのオンリーワンアンプのご相談に乗れますので、どうぞ、ご遠慮なく!
今、MASTERS AU-880Lで“ケルティック・ウーマン”を聴いて、このブログを書いています。
清らかなフィメール・ボーカルには癒されます。ちなみに、リスニング時のアンプ消費電力をチェックしてみたら、平均6Wでした。
まだ余震が続きます。心を平安に保ち、毎日を過ごしましょう。