比較的若い方で、最近、アナログレコードファンになられたという方が少なくありません。確かに、CDに比べれば、S/N比、収録時間、コンパクトさで、遜色があります。けれども、アナログレコードサウンドでの音楽情報がぎっしり詰まった感じは、とても素晴らしい特徴ですし、カートリッジでの音色の差を楽しめるのも、大きな楽しみです。
ここ2~3ヶ月、アンプ製作に多忙ですが、ライフワークとも言えるバランス増幅について、何とかフォノイコライザーにまで実現してみたいと思うようになりました。特に微少信号を扱うフォノステージでは、バランス増幅は外部ノイズに強く、適している方式と思っていました。原理的には、フォノカートリッジからバランス増幅はおこなえるはずですが、アームからの引出ケーブルはアンバランスのシールドケーブルなので、このケーブルをバランスケーブルに改造、取り替えることは大変なので、今回は、カートリッジ出力はアンバランスで、MCトランスでアンバランスで受け、MCトランスの2次側でバランス変換して、その信号をバランス増幅して、バランス増幅フォノイコライザーが開発できました。試作機をとりあえず測定し、ゲインは62dBを得て、Dレンジも±12Vdで十分充分とれるので、バッテリー駆動としました。さすがに、ハム関係のノイズは極限まで下がります。
驚いたのは、うっかりして、プラスマイナスの極性を間違えてアンプに給電したときのことです。通常の安定化電源からの誤給電では、アンプの半導体が壊れるだけです。びっくりしたことに、半導体が砕け、飛び散ったのです。やはり、バッテリー(9Ahの鉛バッテリー)の電流供給力は物凄く、改めて通常の電源にない、その凄さを認識しました。
車のエンジンスタート時には約100Aもの電流が必要と言われています。通常の100V電源からの供給エネルギーは、整流用のコンデンサーの静電エネルギーに頼っています。電源周波数の周期で、コンデンサーにはエネルギーが電源から供給されますが、とてもバッテリーにはかないません。いわゆる、過渡的には電流供給能力は、現在のところバッテリーに勝るものはありません。惜しむらくは、12Vバッテリー2本での動作になることです。通常アンプ構成で8W程度、バランスアンプにして18Wです。マッキントッシュのように、出力トランスを装備すれば、パワーは2倍以上に大きくすることは可能です。
また、24Vバッテリーもありますが、これはトラック、バス用で、オーディオ用に使うには大変ですが、これで、バランスパワーアンプを造れば、60W以上の強力なアンプができるはずです。
但し、以上の話は、オーディオ技術から見ての展開であって、実際のヒアリングにおいて、皆様のお耳に快適と思われるかは、それはいろいろあると思います。わたしのヒアリングにおいては、リアルな再現能力、すなわち、まだまだアナログレコードにはすごい情報が詰まっていると感じています。
4回目の大震災寄付ができました。これも皆様のおかげと感謝しております。