店長が日々感じたことを、オーディオエッセイ風に綴ります。開発日誌、コラムなど、様々な内容を情報発信しています。

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マスターズのプリアンプはいろいろあって楽しめます!

一般的に、音質・音調に影響を与える要素は、パワーアンプのほうが支配的といわれています。“確かにそうかな!”と私もそう思っていました。
ところが、パッシブプリアンプを作ってみて、その見解がひっくり返りました。パッシブプリアンプの、何も足さない、何も失わないと思えるようなサウンドを聴いて!
けれども、オーディオは趣味・道楽であって、また、科学的にいっても、原音というのが果たしてどうなのかもはっきりしません。マイクが異なれば、ホールが異なれば、ミクシングが違えば、マイクセッティングが違えば、その場の温度・湿度が違えば、などなど。
要は、なるべく原音らしきサウンドを好むも良し、リスナーの聴覚に心地よく聴こえれば良いし、いつも同じサウンドを楽しむだけでなく、たまには異なったサウンドも楽しみたいと思うのも、オーディオ趣味の健全な方向と思います。

  1. 300B採用プリアンプ“MASTERS CA-X1”
    これは、既にアクリル加工が出来なくなったので製作完了です。けれども、同じような回路構成や電源構成で製作することは可能です。この方式のサウンドはリッチで、サウンドの生き生きした音調が大変な魅力です。音楽のリズムやハーモニーも大変重要です。
    このあたりの音楽の持つ息遣いが感激を与える重要要素のような感じを抱かせるのが、この300Bプリアンプの魅力です。
    特に、真空管パワーアンプとの組み合わせが絶品です。

    MASTERS CA-X1

  2. API回路方式プリアンプ“MASTERS CA-2000”
    オーディオ全盛期のスタジオコンソールに採用されたAPIモジュールアンプが奏でるアメリカンポップス的なサウンドは、この時代の音楽だけでなく、ある意味、普遍的な魅力を有しています。どうしてそうなるのか?
    多くのアンプ回路は発振安定度を重視し過ぎるあまり、2段増幅方式がほとんどです。ICのOPアンプもそうしているのがほとんどと思います。
    APIモジュールは、たくみに設計された3段増幅方式です。発振安定度をボーデやナイキスト理論をベースに位相補償すれば、まったく安定なアンプができることをAPIは証明したわけです。
    1970年代の私が在籍していた当時も、サンスイではAPIのことはまったく知らずに、結果的に“AU-607”,“AU-707”に採用したパワーアンプ回路は、親戚関係にあるような3段構成増幅回路です。その後もダイアモンド差動回路、Xバランス回路にして、ずっと3段増幅回路を踏襲して終了しました。
    特に、API方式でのフォノ再生(特に、ジャズ、フュージョン等)は絶品のような感じを受けます。とにかく、精緻でありながらノリの良いサウンドです。

    MASTERS CA-2000

  3. 1段増幅バランス増幅真空管プリアンプ“MASTERS CA-218”
    このプリアンプは、チャンネルアンプシステムを熱心におやりになっているお客様からのご要望でできたカスタムアンプです。
    1球だけの1段増幅でやってみたいということでした。それも、バランス増幅が希望です。そうなると、300Bプリの場合もそうなのですが、真空管プリアンプの残留ノイズを半導体なみにするには、ボリュームを入力・出力の両方に入れることが効果的です。かつては、ヤマハC-2がこの方式を採用してヒットしたことがありますが、真空管プリアンプではマスターズだけだと思います。出力側ボリュームには、10kΩ以下のインピーダンスならば、出力インピーダンスが大きいということはまったく心配なくなります。入力インピーダンスは大きいほうが良いといわれますが、10k~100kΩ範囲なら問題ないでしょう。このアンプで、1個のつまみで音量レベルを調整したいというと、バランス増幅ですと8連ボリュームになります。もちろん、このような多連ボリュームはカスタムになります。東京光音電波さんに注文して、待つこと45日でできてきました。
    このプリアンプはL/R2トランス,2電源・2整流管採用,電源フィルタ回路にはアメリカ製フィルムコンしか採用しない(ケミコン追放)!
    出てきたサウンドは、切れ味が良く、音数が多く(情報量が多い)、リッチなサウンドで、私は聴き惚れてしまいました。

    MASTERS CA-218
    MASTERS CA-218

  4. 真空管整流によるAPI回路のプリアンプサウンド
    すでに、この方式による『真空管整流電源によるトランジスタ・フォノEQアンプ』について、報告させていただきました。
    やはり、LINEアンプに採用しても、サウンドの重心が下がり、オーディオアンプは電源の影響を受けることが明白な事実です。それは、そもそもアンプが電源電力をオーディオ信号で切り分けて、負荷に供給しているからです。
    従って、最も安定な電源といえば、大容量バッテリといえましょうが、周波数応答をサポートする意味で、バッテリといえども、コンデンサを電源に付加して、補償することは重要です。
  5. パッシブプリアンプ
    純粋に入力信号を変換伝達する意味からは、パッシブプリが電源いらずですから、最も有利です。ノイズ発生することもありません。特に、バランス型トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FBS”を使うとやめられなくなります。
  6. 300Bバランス構成プリアンプ“MASTERS CA-5000”
    最後に、3年前に納入した究極のカスタムプリアンプを紹介します。300Bバランス構成プリアンプです。音量調整は、トランス式を採用しています。堂々としたサウンドが凄かったです。電源部とアンプ本体のセパレート方式です。
    MASTERS CA-5000
    MASTERS CA-5000
    MASTERS CA-5000


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