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CA-607G/HPD
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店長が日々感じたことを、オーディオエッセイ風に綴ります。開発日誌、コラムなど、様々な内容を情報発信しています。
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新開発の真空管整流電源によるトランジスタ・フォノEQアンプ

  1. 検討のきっかけ

    トランジスタアンプに限らず真空管アンプでも、整流デバイスはほとんどがシリコンダイオードと決まっている昨今です。整流ダイオードは安価であるし、場所もとらないし、壊れることも非常に少ない。寿命はほとんど半永久的といえるでしょう。
    けれども、オーディオアンプというのは、電源から供給されたDC(直流)をコントロールする電極(ベース,ゲート,グリッド)に加えられた信号によって変調され、できるだけ忠実な内容でアンプからスピーカに加えられ、スピーカはフレミングの左手の法則で動き、音が出ます。スピーカの振動が止まろうとするときは逆起電力を生じて(フレミングの右手の法則)アンプに電力を戻します。そのような原理原則ですから、オーディオアンプの電源の品位は非常に重要です。
    昨今では、商用電源のひずみ、電磁波の混入現象で、整流した電源の質が悪化しているのは、皆さんご承知のとおりです。今回の開発は、その前に小電流の整流デバイスとして、理想的な真空管(整流管)を半導体アンプに採用したらどうなるかの興味・探究心でやってみました。ダイオードはその原理上、交流を加えて整流しようとすると、加わる電流が電源周波数で反転変化するとき、必ず反対の向きに流れる性質があり、その瞬間には大きなパルスノイズを発生します。このノイズは安全規格をクリアできないほどの大きさがあります。そのため、反対に流れる時間が短くなるファーストリカバリー・ダイオードなどが使われますが、それでもそのノイズを吸収するコンデンサは不可欠になります。また、そう対策してノイズが減ったとしても、微視的に考えれば、整流された電流の質がスムーズではありません。そのことに注目して、あえて、ヒーター電力がいるし内部抵抗の大きな整流管で小信号を取り扱うオーディオアンプ、とりわけ、フォノイコライザーに応用してみました。おそらく、このような試みは大げさに言えば、世界初と言えましょう。

  2. 試作回路

    回路構成は、図に示すように、整流管、それもできるだけスペースを食わない6×4をダイオードに見立てて、倍電圧整流方式で±15Vを得ることにしました。倍電圧整流ですから、6×4はどうしても2本は必要です。ヒータートランスも必要です。従って、半導体ダイオードよりもスペースは食いますし、コストもかかります。
    本当に実現できるかを試作ケースで作ってみました。画像でご覧のように見栄えはまったく良くないですが、電源回路の電気的性能はばっちりでした。
    フォノイコライザーアンプは、1970年代オーディオ全盛時代のアメリカで評判高いAPIモジュール回路を、当社なりに改良を加えた回路ユニットを採用してみました。これまでこの回路でフォノイコライザーを製品化したことがあるので、購入されたユーザーさんはそのからっとした切れ味良い、アメリカンサウンドに魅力を感じられたことでしょう。

  3. ヒアリング

    試作が出来上がって、恐る恐る、わくわくする気持ちを抑えながらレコードを掛けてみました。
    まずは、ビル・エヴァンストリオの演奏。ビル・エヴァンスのピアノサウンドがきらきら輝いて聴こえます。ベースサウンドが深く聴覚を刺激します。
    次に、アメリカRCAの異色クラシック、ルネ・レイポビッツ指揮/ロイヤルフィルの“展覧会の絵”を聴いてみました。その激しい迫力の表現、また、弱音時の“しっとりさ”は、大したものと感激してしまいました。亡くなった上杉さんが“製作者の音質コメントほど、あてにならないものはない!”と言われていましたが、一応わたしはプロの端くれですので、努めて冷静に客観的に聴いております。また、出来上がった翌日聴いてみると、がっかりすることを体験しています。そこで、今朝改めて聴いてみても、その判断には間違いがなく、失望はありませんでした。むしろ、新製品にしてみようという意欲に駆られました。
    その結果を名デザイナー大友氏に連絡したところ、それでは、シャーシ・ケースデザインをやってやろうと言ってくれました。
    オーディオ製品と言えど、世界経済・大震災で厳しいなかで、なるべく経済的負担を軽くしようと思っておりますので、それなりにお求め易い価格で新製品をしたいと思っております。まだまだ、アナログ・レコードは素敵です。
    さらに、この方式でライン入力プリアンプにしたいというご希望にもお応えできますので、よろしくお願い致します。

真空管整流電源によるトランジスタ・フォノEQアンプ

真空管整流電源によるトランジスタ・フォノEQアンプ


2011年の活動を振り返って

2011年もご愛顧頂きましてありがとうございました。
2011年の活動を振り返ってみたいと思います。

  1. 使い易いパッシブプリアンプ

    昨年は、狭くて決して綺麗でない工房に来訪して下さる方が多かったことに、お礼申し上げます。
    ところで、パッシブプリは、大勢の方に聴いてもらう広いスペースでの再生は、細やかな表情の再生を聴き取るには、充分な良さを感じ取るのにベストとは言えません。皆様が楽しむ音場は4.5~14畳くらいのスペースが充分と思います。また、ユーザーの方から、“電源不要なことが、これだけピュアなサウンドになるのだと実感!”という声を良く聞きます。ニア・フィールドリスニング、ヘッドフォンリスリングにも最適と言えましょう。

    また、真空管パワーアンプを使用されている方にもパッシブプリユーザーさんが数多くおられます。真空管アンプのおおらかなサウンドに、繊細さが加わったと言われます。そして、“バランスタイプとアンバランスタイプのどちらが良いか?”という質問も良く受けますが、バランス増幅アンプならば、バランス型トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FBS”をお勧めします。バランス増幅特有の重心が落ち着いたサウンドが得られます。バランス型トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-777S”ですと、軽やかで、繊細、高分解能が良く聴き取れます。“どっちも欲しい!”というお方(S.Hさん)は両方を購入いただきました。

  2. STAXイヤーSPの聴き方の拡がりとヘッドフォンリスニング

    有限会社STAXは、最近、中国の会社と提携することになり、経営が安定することと思われます。できれば日本の会社との提携を願うところでしたが、これもいたし方ないところでしょう。STAXのイヤースピーカの製造現場を見学させていただくと、防塵ルームで、超細かいほこりやちりを丹念に取っている作業、また、振動膜をあざやかに張る作業は繊細で気配りある日本人にはぴったりです。いつまでも日本生産を続けて欲しいと願っております。

    マスターズでは、STAXイヤースピーカをSTAXさんの専用ドライバーアンプとは別の観点からの再生を目指してきて、一昨年から、何台かのSTAX用アンプを製作・納入できました。2011年は、さらに進展させ、純真空管構成で、500Vrms以上の最大電圧をSTAXイヤースピーカに供給できるようになり、楽々とドライブできるようになりました。副産物として、通常(動電型)のヘッドフォンをバランス・ドライブすることもできるようになりました。動作原理がまったく異なるヘッドフォンを両方聴けることは、さらなるオーディオの楽しみが倍加することでしょう。STAXイヤースピーカ/ヘッドフォン バランスドライブアンプ“MASTERS SX−3000BD”として製品化しました。

    2012年には、半導体アンプで聴けるようにしたいという声に応えて、製品化する予定です。このアンプは、製品化に先駆けて、すでに2011年11月30日のブログで新型・多用途プリメインアンプ“MASTERS AU-900STAX/HP”としてご紹介いたしました。この方式ですと、性能は落ちることなく、よりお求め易い価格を実現できます。

  3. これ以上ピュアな再生方法がないバッテリードライブアンプ

    100V電源が汚染されていたり、波形ひずみが多いことは、これだけデジタル技術、コンバータ技術等が進歩すると、その副作用として発生するのはある程度仕方のないところです。そのような状況下で、対策ケーブル等がにぎやかです。中にはアンプの価格を越えるものがあり、“それは行き過ぎ!”と思うのは、わたしだけではないと思います。100V電源汚染をクリーンにするのは、柱状トランスからとか、新たにアンプで100Vを作る電源くらいにしないと、なかなか効果がでるものでないと感じています。その点、バッテリー電源はまったく100V電源の影響は受けず、その電源インピーダンスの低さは驚異的です。なぜなら、エンジン始動には100A以上の電流が流れます。このような大電流に耐える家庭用電源、アンプ電源はありません。難点は、12V電圧ですから、MASTERSのような±12Vで動作するようなアンプが必要なことです。バッテリー価格は、車用が多量に販売されて、その性能に比べ、大変、お安いと思います。使い方、充電等については、アンプの発送時に十分に説明させていただきますし、2010年4月6日のブログをご覧下さい。

2012年もよろしくお願い申し上げます。


新型・多用途プリメインアンプMASTERS AU-900STAX/HP登場!

新型・多用途プリメインアンプMASTERS AU-900STAX/HP登場!

このところ、STAX静電型イヤーSPに改めて魅力を感じております。最近では、限定発売の407の低音再生能力には感心しております。STAXの社長に伺ったところ、そのような好評判を得て、限定数はほぼ売り切ったようです。

MASTERSでは、真空管アンプによるヘッドフォン(STAX/通常型)をバランスドライブできるアンプを、新製品STAXイヤースピーカ/ヘッドフォン バランスドライブアンプ“MASTERS SX-3000BD”として発売いたしました。画期的なアンプです。

しかし、このアンプを購入するには費用が少し不足という方、また、半導体アンプのほうが良いと言う方、それに、コンパクトでスピーカも良いサウンドで聴けるアンプ、という欲張ったアンプもあって良いと思ってきました。

そこで、現在、評判のプリメインアンプ“MASTERS AU-880L”(¥63,000)をベースに、STAXも通常型ヘッドフォンも聴けるというアンプを開発しました。
いずれ、近々新製品として登場させますが、まずはブログで紹介いたします。ご興味のある方は、お問い合わせ下さい。正式発売に先立って製作することは可能です。

さて、その仕様は、通常のプリメインアンプとして10W+10Wのパワーがあり、超ローノイズ、低ひずみです。サウンドも高音質です。さらに、STAXイヤースピーカも接続でき、何と500Vrms以上の最大出力(STAXさんのアンプ以上)を出せますので、イヤースピーカをがんがん鳴らせます。また、通常のヘッドフォンもバランスドライブはできませんが、高音質で32Ω~300Ωのヘッドフォンに対応します。

ケースサイズは、AU-880Lの330(W)×75(H)×230(D)のコンパクトなケースサイズに収まります。スケッチをご覧下さい。
価格は¥94,500(税込)です。10万円以下の大サービス価格と致しました。

なお、1台目のみ、スパイク脚(CUSTOMとして)仕様にすることもできますので、お早めにどうぞ!
納期は20日程度かかります。

概略仕様

最大出力 10W+10W(8Ω),STAX:500Vrms,通常ヘッドフォン:1W
増幅度 26dB,STAX:53dB,通常ヘッドフォン:10dB
適合インピーダンス STAX(全ての機種):4~8Ω,通常ヘッドフォン:32~300Ω
ひずみ 0.02%以下
入力 3系統(RCA)
なお、オーディオシグナル中継はカスタムで可能です。
サイズ(ケース) 330(W)×77(H)×230(D):突起物含まず
重量 約4.5kg

 

MASTERS AU-900STAX/HP
【MASTERS AU-900STAX/HP】

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