昨年12月は完成品アンプの注文を頂き、今年になってからは、部品関係のお問合わせ/ご注文を多く頂いております。
俗にいう2007年問題の年を迎えて、この方々のお財布をあてにしている会社も多いようですが、今後の暮らし、日本の行方、長寿社会を考慮すれば、そんなにお金をオーディオには注げないでしょうし、そうすべきではないでしょう。
イシノラボ/マスターズは、ぎりぎりの価格設定で、皆さんがオーディオを有意義に楽しんでいただくことを望んでいます。
さて、当店は真空管アンプを主体としていますが、盟友、川西氏主宰のウエストリバーアンプ(WRアンプ)の製作も担当しておりますので、トランジスタアンプの設計・製作にも多くの時間を費やしています。また、他にない魅力あるアンプの開発・商品化にも注力しています。
発表したばかりの「MASTERS BA-215TM/STAX」EL34pp(3極管接続)アンプは15W+15Wにパワーを抑えて、良好な音質と、ロングライフを狙った設計です。この方向は真空管アンプの老舗、ウエスギアンプの思想に近いものです。ユニークなのは、長年構想を温めてきた、STAXのイヤースピーカを使えるようにしたことです。今から40年以上以前にSR-3を購入して以来、ずっと愛用しています。その、さわやかで、耳を圧迫しないナチュラルなサウンドはすっかり気に入っています。
また、(有)STAX社長、目黒氏とはサンスイ以来の友人付き合いさせていただいております。
今回、いろいろ試行錯誤を重ねる中で、静電型スピーカはクーロン力で振動するわけですが、そのリニアリティの良さを改めて認識しました。また、DCバイアス電圧によって、サウンドが変わってきます。様々な検討の結果、DC5-80Vが最適と、STAXは判断されたようです。かつてのSR-3はDC300Vくらいで、そのせいか、サウンドが柔らかいです。静電型スピーカは高圧をかける必要がありますが、高抵抗(5M以上)がシリーズで接続されるので、仮に人体に触れても、流れる電流は無視できるほど小さく安全なことも分りました。(但し、実際の製品は、漏電しないように厳重になってます。)
感電を感じても、人体への危険の程度は、人体に流れる電流で決まります。電圧ではありません。ちなみに静電気でパチとなりますが、これは電圧は1万Vくらいありますから、指先から金属へ火花が飛びます。しかし、特別危険というわけではありません。
このパワーアンプ「BA-215TM/STAX」のネーミングは、「ステレオの2chで15W」を表わし、「TM」は「タムラトランス」を搭載していることを表しています。タムラのトランスはUTCトランスの流れをくむせいか、刺激的なサウンドはしません。極めて、スムーズで、さわやかです。その秘密は巻き線方法もあるでしょうが、外装ケース内部にはトランス本体をしっかり固定する金具があり、それでサポートされてから充填されているといいます。このような手間のかかる作業をやれる職人ワザやれる方はもはや数少なく、貴重なものです。