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【MASTERSブランド】
CA-999FBGシリーズ
CA-999FBGシリーズ
電源がいらない、電源問題がない、バランス型トランス式パッシブプリアンプ!
RCA入力においてもゲイン切替可能!
アクリル仕上げフロントパネル!
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店長が日々感じたことを、オーディオエッセイ風に綴ります。開発日誌、コラムなど、様々な内容を情報発信しています。
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新製品 プリメインアンプ“MASTERS AU-890L”のご紹介

これまでホームページ上には、大友デザイナーによるデザインスケッチで、プリメインアンプ“MASTERS AU-890L”を紹介しておりましたが、やはり作ってみてのご紹介が筋ということで、1台製作しました。

  1. 回路は、大好評のプリメイアンプ“MASTERS AU-880L”と基本的には同様です。電源トランスはオーソドックスなEI型タイプを搭載しております。電源トランスのタイプにより、電源変動率だけでなく、動作時のリケージフラックスが異なるので、微妙にサウンドは異なるようです。AU-880Lより、わずかにどっしりした感じが聴き取れます。
  2. 電源ケミコンは、USA製のスプラーグ製をメインに搭載しております。容量が多くはないのにそれなりに大型になっているのは、電解箔のエッチング倍率は低く、等価抵抗分が低いと思われます。従って、好ましいサウンドが出てくる可能性が高いです。近年のケミコンのエッチング技術は凄く、小型で驚くほど容量が取れます。抵抗分(ESRと言う)は別として。
  3. 操作は、ロータリースイッチとオーディオ全盛時代に使われたレバースイッチでおこなえるようになっています。とっくに製造は完了しているので、在庫分を使ってのご提供です。使用感と見た目は、素晴らしいと思っています。
  4. マスターボリュームはアルプスのデテント型を採用しています。このボリュームのL/R減衰特性の素晴らしさには目を見張ります。特に、-50~ー75dBの減衰特性のL/R偏差の正確は、プロ用の東京光音電波のボリュームも素晴らしいですが、それを上回ります。音質もアキュレートそのものです。
  5. AU-880Lで好評な部分は、パワーアンプへのダイレクト機能です。AU-890Lでは、レバースイッチを下に倒せば、ボリュームを通らず、パワーアンプと動作します。
  6. AU-880L同様、このアンプの電源ON時、立ち上がり、電源OFF時の立下り特性が極めてスムーズなので、SPリレーは通ることはなく、しっかりしたレバースイッチを通るだけとなっております。万が一のプロテクションはヒューズで対応しております。ブレーカースイッチへのカスタムは受け付けますので、ご利用下さい。
  7. 肝心のサウンドは、このようなスモールパワーとは思えないようなパワフルさで、かつ明快、分解能も良好、繊細さもあり、良好なサウンドと思います。将来プランとして、パッシブプリアンプ“MASTERS CA-777S”と組み合わせれば、さらに精緻なサウンドが聴けると思います。

P/S:
私の気持ちの拠り所としていた音響機器メーカーの山水電気株式会社が東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理されました。昨年、親会社ザ・グランデ・ホールディングズ・リミテッド(香港)も事実上の倒産状態に。資金調達のメドがまったく立っておらず、今期の定時株主総会も延期していました。 東証では、5月3日付けで上場廃止となる予定。これで、山水電気は完全に消滅になります。


トランス式パッシブプリアンプの性能とサウンド

MASTERSのトランス式パッシブプリアンプは引き続き好評で、現在も多くの問い合わせ、カスタムリクエストを頂いております。当社のようなスモールスケールの会社では、皆様のやってみたいこと、こうして欲しいことを検討し、できるだけ実現することに努めております。

今回は測定環境を整えて、発振器の低ひずみを実現して、発振器の残留ノイズを性能限界まで低く致しました。

少し話がそれるかも知れませんが、大手メーカーがデジタルアンプ開発に使うパソコンと連動するオーディオプレシジョンでのひずみ測定は驚くほど低ひずみになりますが、これは、ハイパスフィルタを20kHzにして、ひずみ高調波を測定できないようにして、低ひずみデータが出ている場合が多いのです。

今回の測定では、当方の発振器で発振器残留ひずみをノイズも含めて、何とか0.003~0.004%に致しました。

そのうえで、トランス式バランス型パッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FBS”について、雑音ひずみ率を、通常より広く60Hz~20kHzまで測定してみました。50Hz地域では、50Hzのひずみ測定はビート現象を起こすので、ずらすことがおこなわれます。

ところで、オーディオエンジニアでさえ、トランスというと、ひずみがあるとか、帯域が狭いとかと誤解している方が少なくないのには少し驚きます。シンプルな電源トランスでさえも、多くの誤解や知識不足があります。このことは、学校での電磁気学の教育の悪さで、教える先生方でさえ実態が分かっていないことが多く、仕方なく、マックスウエルの微分方程式を数学的にもて遊び、学生を困らすだけだと思います。かって、タムラ製作所に入社したとき、実態に基づいた理論・設計法を教えられ、当時のタムラ開発部長のH氏に電磁気学教育のひどさをお話しましたが、東北大学出身のH部長は仕方ないといっていました。強いて言えば、トランスメーカーがトランスに関する技術書を出版すればよかったのですが、核心技術を公開したくない気持ちが出版を阻んでいます。

話が、余計なところにそれてすいません。

さて、グラフに示すように、ひずみの少なさは、素晴らしさに尽きます。高域は、理論的にもトランスのひずみは非常に少なくなります。周波数が高くなればなるほど、磁気飽和を起こすことになるからです。けれども、採用しているコアの選定を誤ると(磁気材料やアニール処理等で)、高域でもひずみが下がりきらないことが起ります。

トランス式バランス型パッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FBS”ではトランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-777S”と同様、スーパーパーマロイを採用し、適切な巻線を施しているので、ワイドレンジで低ひずみを実現しております。

アンプの場合は、プリアンプといえども、高域では一般的にひずみは悪化します。また、本質的にアンプは電源成分をオーディオ信号で増幅デバイスを変調(コントロール)して出力しますので、ひずみはNFBでかなり改善できますが、ノイズ成分は必ず加算されます。

オーディオエンジニアやオーディオ評論家でも誤解している方が多くおられますが、いくらNFBを掛けても、ゲインがその分低下するので、残留ノイズ絶対値は下がりますが、アンプのS/N比は、デバイス・デバイスに掛ける電圧・流す電流によって決まってしまいます。

トランスは、トランス自体はノイズを全く出さないので、S/N比を悪化させることはまったくありません。いわゆる、“オーディオ信号に何も足さず、なにも引かず、そのまま伝送する”ということになります。但し、磁性体の選定や設計が拙劣では成立しません。

また、人間の聴覚は、ある意味、電気的測定より優れた検知能力が知られておりますが、実際、今、ヒアリングしながら聴いてますが、まさにピュアなサウンドを出してくれている感じで、ぞくぞくします。ちょうど、2月6日にオペラシティで聴いたばかりの“春の祭典(ストラビンスキー)”を聴いてますが、不協和音や変拍子が連続する部分でも、綺麗に、明快に聴こえます。

特に、ある程度のニア・フィールフィルードで、それほど大きくないレベル(70~80dB程度のサウンドレベル)でヒアリングする方には、音楽の細部まで聴こえて、残留ノイズ成分のないこのパッシブプリアンプで、オーディオ趣味を心ゆくまで堪能できます、まさに、最適と思います。

スピーカをバランス増幅したい方には、このトランス式バランス型パッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FBS”を、従来のハーフブリッジ式アンプで充分という方にはトランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-777S”をお勧めします。

MASTERS CA-999FBSのひずみ特性
MASTERS CA-999FBSのひずみ特性


マスターズのプリアンプはいろいろあって楽しめます!

一般的に、音質・音調に影響を与える要素は、パワーアンプのほうが支配的といわれています。“確かにそうかな!”と私もそう思っていました。
ところが、パッシブプリアンプを作ってみて、その見解がひっくり返りました。パッシブプリアンプの、何も足さない、何も失わないと思えるようなサウンドを聴いて!
けれども、オーディオは趣味・道楽であって、また、科学的にいっても、原音というのが果たしてどうなのかもはっきりしません。マイクが異なれば、ホールが異なれば、ミクシングが違えば、マイクセッティングが違えば、その場の温度・湿度が違えば、などなど。
要は、なるべく原音らしきサウンドを好むも良し、リスナーの聴覚に心地よく聴こえれば良いし、いつも同じサウンドを楽しむだけでなく、たまには異なったサウンドも楽しみたいと思うのも、オーディオ趣味の健全な方向と思います。

  1. 300B採用プリアンプ“MASTERS CA-X1”
    これは、既にアクリル加工が出来なくなったので製作完了です。けれども、同じような回路構成や電源構成で製作することは可能です。この方式のサウンドはリッチで、サウンドの生き生きした音調が大変な魅力です。音楽のリズムやハーモニーも大変重要です。
    このあたりの音楽の持つ息遣いが感激を与える重要要素のような感じを抱かせるのが、この300Bプリアンプの魅力です。
    特に、真空管パワーアンプとの組み合わせが絶品です。

    MASTERS CA-X1

  2. API回路方式プリアンプ“MASTERS CA-2000”
    オーディオ全盛期のスタジオコンソールに採用されたAPIモジュールアンプが奏でるアメリカンポップス的なサウンドは、この時代の音楽だけでなく、ある意味、普遍的な魅力を有しています。どうしてそうなるのか?
    多くのアンプ回路は発振安定度を重視し過ぎるあまり、2段増幅方式がほとんどです。ICのOPアンプもそうしているのがほとんどと思います。
    APIモジュールは、たくみに設計された3段増幅方式です。発振安定度をボーデやナイキスト理論をベースに位相補償すれば、まったく安定なアンプができることをAPIは証明したわけです。
    1970年代の私が在籍していた当時も、サンスイではAPIのことはまったく知らずに、結果的に“AU-607”,“AU-707”に採用したパワーアンプ回路は、親戚関係にあるような3段構成増幅回路です。その後もダイアモンド差動回路、Xバランス回路にして、ずっと3段増幅回路を踏襲して終了しました。
    特に、API方式でのフォノ再生(特に、ジャズ、フュージョン等)は絶品のような感じを受けます。とにかく、精緻でありながらノリの良いサウンドです。

    MASTERS CA-2000

  3. 1段増幅バランス増幅真空管プリアンプ“MASTERS CA-218”
    このプリアンプは、チャンネルアンプシステムを熱心におやりになっているお客様からのご要望でできたカスタムアンプです。
    1球だけの1段増幅でやってみたいということでした。それも、バランス増幅が希望です。そうなると、300Bプリの場合もそうなのですが、真空管プリアンプの残留ノイズを半導体なみにするには、ボリュームを入力・出力の両方に入れることが効果的です。かつては、ヤマハC-2がこの方式を採用してヒットしたことがありますが、真空管プリアンプではマスターズだけだと思います。出力側ボリュームには、10kΩ以下のインピーダンスならば、出力インピーダンスが大きいということはまったく心配なくなります。入力インピーダンスは大きいほうが良いといわれますが、10k~100kΩ範囲なら問題ないでしょう。このアンプで、1個のつまみで音量レベルを調整したいというと、バランス増幅ですと8連ボリュームになります。もちろん、このような多連ボリュームはカスタムになります。東京光音電波さんに注文して、待つこと45日でできてきました。
    このプリアンプはL/R2トランス,2電源・2整流管採用,電源フィルタ回路にはアメリカ製フィルムコンしか採用しない(ケミコン追放)!
    出てきたサウンドは、切れ味が良く、音数が多く(情報量が多い)、リッチなサウンドで、私は聴き惚れてしまいました。

    MASTERS CA-218
    MASTERS CA-218

  4. 真空管整流によるAPI回路のプリアンプサウンド
    すでに、この方式による『真空管整流電源によるトランジスタ・フォノEQアンプ』について、報告させていただきました。
    やはり、LINEアンプに採用しても、サウンドの重心が下がり、オーディオアンプは電源の影響を受けることが明白な事実です。それは、そもそもアンプが電源電力をオーディオ信号で切り分けて、負荷に供給しているからです。
    従って、最も安定な電源といえば、大容量バッテリといえましょうが、周波数応答をサポートする意味で、バッテリといえども、コンデンサを電源に付加して、補償することは重要です。
  5. パッシブプリアンプ
    純粋に入力信号を変換伝達する意味からは、パッシブプリが電源いらずですから、最も有利です。ノイズ発生することもありません。特に、バランス型トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FBS”を使うとやめられなくなります。
  6. 300Bバランス構成プリアンプ“MASTERS CA-5000”
    最後に、3年前に納入した究極のカスタムプリアンプを紹介します。300Bバランス構成プリアンプです。音量調整は、トランス式を採用しています。堂々としたサウンドが凄かったです。電源部とアンプ本体のセパレート方式です。
    MASTERS CA-5000
    MASTERS CA-5000
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