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店長が日々感じたことを、オーディオエッセイ風に綴ります。開発日誌、コラムなど、様々な内容を情報発信しています。
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電子体温計のばらつき

コロナ禍の昨今、体温が気になります。

長年使用した電子体温計が壊れ、電池を交換しても表示しなくなったので、買い替えました。

早く体温が知りたいので、OMRON MC681(¥3,850で購入)を入手。
脇の下に入れて、20秒もすると、予測体温が表示されます。これは便利です。
ところが私の体温が36.6度と表示されました。
これにはびっくり、クリニックで測定すると35.9度くらいでいつもの体温表示でした。

心配になって、今度はシチズンCT422を(¥1,540で購入)を入手。
この体温計は表示されるまで2.5分程度かかりますが、その表示は35.9度でした。
そこで、シチズンにTELして聞いたところ、正確な体温表示には9分程度かかるとのこと。この表示は予測表示。それでは、9分も測定すると何度あがるのかと質問すると、0.1度以下とのこと。私は納得。

それではと、OMRONにTELしてみると、見解ははっきりせず、わからずじまい。
皆さん、一流ブランドのOMRONがこのありさまです。

皆さんも体温測定で一喜一憂になることもあるでしょう。
体温計は疑ってみる必要があるようです。もちろん、両体温計とも中国製です。

中国製が悪いということではなく、委託する会社がしっかりして欲しいです。

なお、赤外線による表面温度計も買いました。
36.4~36.7℃くらいを表示します。
額の温度は脇の下とは異なるので、目安と思っています。


アンプ電源のシャーシ電位とは?

2014年に発売された“オーディオお助けハンドブック(音楽之友社)”を眺めると、デジタルテスターの使い方として、アンプのシャーシ電位の測定法が掲載されています。

デジタルテスターのマイナス側のリード棒を測定者が握り、アンプの電源をONさせて、デジタルテスターのプラス側のリードをアンプのシャーシにタッチします。測定レンジはACとします。

アンプの電源ケーブルをACコンセントへの差し込み方向を変えてみて、シャーシ電位が微妙に変位することがあります。シャーシ電位が低いほうを差し込んでおくべきという見解があります。

ほとんど電位に差がないときはどちらでも良いということにもなります。

この手続きをアンプセットの際の作業という見方もあります。なぜ、そうするのかと言うと、電源極性により、微妙に音質・音調が違うという記事が少なくないからでしょう。

それはそれとして、いったい、上記内容は電気的に見て何を意味するのでしょうか?

【図1】を見てください。

【図1】アンプシャーシ電位(電圧)測定方法の図解
【図1】アンプシャーシ電位(電圧)測定方法の図解

シャーシのグランドとはオーディオ信号のアース側とアンプ電源トランスの2次側センタータップが接続されて、シャーシに落ちています。
このことはシャーシ内の機器は静電シールドされ、外部からの電磁誘導成分はアンプ内部に入り込まないことになります。

そうなっているので、アンプメーカーは電源ケーブルの極性はどちらでも良いということになっていたのです。

ところが、一部評論家さんが、シャーシ電位について言及してオーディオ誌に記述したので、近年、関心がもたれるようになってきたのです。

けれども、このACシャーシ電位は、電源トランス巻線からのストレー(漏れ)キャパシティ(静電容量)電位を測定することに過ぎないのです。

この電位の電圧波形をオシロスコープで観測すると、その通り、電源(100V)波形と相似になります(【図2】【図3】参照)。

【図2】商用電源波形(100V)のオシロスコープ波形スケッチ
【図2】商用電源波形(100V)のオシロスコープ波形スケッチ
【図3】シャーシ電位測定のオシロスコープ波形スケッチ
【図3】シャーシ電位測定のオシロスコープ波形スケッチ

だから、シャーシ電位は電源極性により多少変動するのです。

シャーシ電位をできるだけ低くすることを要求されるのは医療機器です。
病院やクリニックのACコンセントはアース付き3Pになっているはずで、アース端子は地中に配電業者がアース棒で取っているはずです。

さらに、電源トランスによる上記ストレーキャパシティが最少になるように電源トランスの1次側に静電シールドを施します。
橋本電気トランスのように、さらなる工夫を加えた静電シールドを施している電源トランスもあります。

通常、オーディオ用電源トランスは、ストレーキャパシティ問題はないとして、静電シールドは省略してあります。

また、トロイダルトランスやRコアトランスはその形状から、静電シールドを施すことが困難です。

従って、アンプ電源極性はあまり神経質にならず、残留ノイズの少ないほうとか、聴いて、好みのほうにしておけば良いと思います。

さらに、ストレーキャパシティの問題をクリアにするには、電源別シャーシ構造にすれば、ほとんど解決されます。


オーディオファイルの求める2種類のサウンド

オーディオファイルの求めるサウンドは2種類あるのでしょうか?

2020年12月号“ステレオ”(音楽之友社刊)に榎本憲男氏の記事で興味あることを見つけました。

ここでその部分ベースに私の解釈を記述してみます。

(注)この記事中、オーディオ趣味で、大元(マスター)の音を忠実に再現しようとする方々を“俺の音”派と定義しています。

私流に解釈してみます。

いわゆる原音再生

いわゆる原音再生、演奏会場の臨場感、ソフトマスターサウンドをそのまま正確に再生することを目指す。

この話題は古くても、今なお、根強い関心があります。

私の認識によれば、オーディオ黎明期に活躍されたオーディオ研究家 高城さんが広めたと言えるでしょう。
高城さんはオールホーンシステムを構築した方として功績を認められています。
高城さんは原音再生として、虫の音や雷鳴の自然音を録音・再生して、原音に感じるように努力されていました。

ほぼ同時代の オーディオ研究家 池田圭さんはWE 15Aホーン愛好家と知られていましたが、原音再生はマスターテープサウンドに近づけるかに努力されていました。

もう少し踏み込んで、演奏会会場でのサウンド認識をベースに再生サウンドを目指す方もおられます。
概して、クラシック音楽愛好家に多く見られるようです。
この考え方は良さそうに思えますが、クラシック録音といえども多数のマイクを使用し、モニターサウンドはレコード会社、録音場所等々いろいろな要素があって、この方向には飛躍があり、むしろ、“俺の音”を目指すことになるのでは!
要は、自分の好きなサウンドを追い求めるような気配も感じます。

私の考え方としては、バイノーラル録音・再生なら意味があると思いますが、スピーカー再生での妥当性は難しいと考えています。
むしろ、モニターサウンド情報にノイズ・ひずみを加えることなく、そのままスピーカーに送り込むことこそ、いわゆる“神の音”になるのではないでしょうか。
マスターズのトランス式パッシブプリアンプはそのような方向で開発致しました。
特に、NFBによる副作用を最低限にしたマスターズ Zバランス増幅アンプはそれです。

根強い方向として、高城さんを範にチャンネルアンプシステムを構築する方は意外と多いのです。

今なお、ゴトーホーン、エール音響、GTサウンド、Mズファクトリーズなどのドライバーブランドは健在です。

理屈では、最高の“神の音”ができそうですが、落とし穴がチャンネルデバイダーにあるように思います。
突き詰めていくと、デジタルチャンネルデバイダーはアナログ・デジタル、デジタル・アナログ変換にどうしても特有のデジタル臭さを感じて、アナログデバイダーに戻る方が少なくないようです。
確かに、マイクで測定してフラットレスポンスを実現しても、それは“神の音”とは違う感覚(聴感)なのです。

再生原則を変えないのを基礎に俺のサウンドを楽しむ

再生原則を変えないのを基礎に俺のサウンドを楽しむことを目指す。

一方で、『神の存在を忘れ、もう一度自分なりのマイルスやカラヤンを2本のスピーカーの間に出現させようとするのが“俺の音”派である。』と榎本氏は記述しています。

オーディオは、再生原則を変えないのを基礎に、俺のサウンドを楽しむものではないでしょうか。

概して、ジャズやポップスなどのリズム主体の音楽を好む方に多いように感じます。

“俺の音”を形作るために、再生側で、トーンコントロール、グラフィックイコライザー、ラウドネスがありますが、使われるチャンスが少ないです。
せっかく、アンプにそのような機能があるのに使わないのはもったいない話ですが、その重要性を指摘していた菅野沖彦さんや上杉佳朗さんのご自宅のプリアンプは、確かフラットポジションだったと思います。
もっとも、菅野沖彦さんはマッキントッシュのスピーカーの調整には、マイクを指標にしたボイシングイコライザーは採用していました。

オーディオサウンドを、ソフト側から与えられたオーディオ情報を元にアクティブに楽しみたい方々です。
そうは言っても、トーンコントロールやグラフィックイコライザーは使いたくないという考えです。
そうなると、電源ケーブルを交換する、スピーカーケーブルを交換する、RCAケーブルを交換する、いわゆる“ケーブル選択エンジョイ!”です。

さらに、今やオーディオアクセサリーはたくさんあり、まだ増えると思います。
けれども、これらは微妙な差異で統計的有意はありません。そのあたりの繊細なヒアリングを楽しむオーディオと言えましょう。

CDが出現したとき、一時、プリアンプ不要論は流布した歴史がありますが、さらにはプリアンプに“俺の音”を求める方が少なくないことも気が付きました。

プリアンプに個性を持たせることは、アクティブプリアンプに製作者側が意識的にしなくとも、結果的にそうなることが多いようです。
その要素は回路・部品・構造によって形作られるのでしょう。具体的には真空管アンプにその傾向が生まれます。
なぜなら、真空管プリアンプは半導体アンプほど多量のNFBを掛けられないので、真空管自体の個性(高調波特性、増幅率、残留ノイズ等)があるからです。
例えば、テレフンケンとRCA、松下等で微妙に異なります。また、設計者のバイアス電圧、プレート電流、プレート電圧のかけ方でも違ってきます。

私は、俺流サウンドを求めるならアクティブプリアンプをお勧めします。
より個性的サウンドを望むなら、真空管プリアンプが良いでしょう。

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