店長が日々感じたことを、オーディオエッセイ風に綴ります。開発日誌、コラムなど、様々な内容を情報発信しています。

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バッテリドライブサウンドの魅力

前回(2009年5月5日)のブログでご紹介した、カスタムアンプ“MASTERS BA-999FB/MOSM”を納品したWさんのマンションにお伺いしました。
Wさんは、きらきら輝く相模湾を眺め富士山も仰げる湘南地区にお住まいです。カスタムアンプのバッテリーをお買いになっていただくために、秋葉原にご一緒しました。密閉型バッテリー(20A/h)を購入して、お宅に向かい、バッテリーとカスタムアンプとの接続を行いました。極性を間違うと、アンプ、バッテリー双方にダメージを与えるので、何度も確認をした上で、接続を完了しました。そして、ヒアリングです。

Wさんは秋葉のヨドバシカメラ、オーディオ売り場で、テレサ・テンのCDをご購入されました。これがなかなかのスタジオ的サウンドで、オーディオ的快感があります。

最初はAC電源で聴き続けました。すばらしく気持ちよいサウンドです。なお、WさんのスピーカシステムはALTEC 604系(最新モデル)のものです。効率は100dB以上あります。

しばらくして、電源切換スイッチをバッテリー側に倒すと、バッテリドライブサウンドになります。彼女のサウンドが、側にいるような、肉声のような感じなのです。彼女が生き返って、プライベートで、直ぐ前で唄ってくれているような味わいなのです。

何故そうなるのかは、推測の域を出ませんが、どなたにも理解いただけることとして以下のことが挙げられます。

  1. 電磁波(スイッチング電源:パソコン電源、インバータ:蛍光灯・冷蔵庫、高周波電磁波:携帯電話機電波・放送電波・その他無線通信電波)が、バッテリには入り込まないこと。
  2. 整流された直流でなく、完全な直流であること。
  3. 今回、使用したバッテリーは鉛バッテリーで、電流容量が充分大きければ、トランス電源やスイッチング電源では及ばない低内部インピーダンス特性にもよること。

短所としては、電源電圧が±12Vが標準となるので、ハイパワー対応が難しいことが挙げられます。バランス増幅アンプで20W/8Ωがくらいが限界です。また、充電に際しては、ある程度の電気的知識と充電作業が必要です。但し、おまかせ充電器(¥5万くらい)を購入すれば、この作業はほとんど軽減されます。事実、私がご存じのお2人がこの充電器を使っておられます(主なる用途はフォークリフト、電動トラクタ用とのことです)。

“やっぱりAC100V電源には、何か、ノイズ的なものがあるな!”と感じてしまったのは私だけではなかったようです。そして、バイファイラ巻きマッチングトランスを通すと、更に爽やかになります。これはパワーデバイスへの負荷が軽くなって、ひずみが少なくなり、リニアリティも向上したからだと考えます。

オーディオの趣味は非日常的な体験が貴重でもあると思います。一概に、バッテリドライブのほうが良い/悪いとは申しません。ユーザーの方の好み、これまでの体験等にも左右され、聴覚にはある意味、絶対ということがありません。ともかく、バッテリー電源アンプのサウンドは、“聴き捨てならないサウンド”であることは確かです。

そのあと、充電器の取扱等の実習を行って、自宅に戻ったのは23時過ぎとなりました。


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