2008年9月20日のブログで、小型バッテリーでとりあえず、動作させてみてその音質品位の向上にびっくりしたことを報告しました。
私は、どちらかというと、自己陶酔タイプなので、感激したあまりヒアリングの判定に大げさなことや間違いあるといけないと思い、しばらく冷却期間を置き、3日後、今度はもう少し大型のシーリングバッテリー(2.6A/h)を購入しました。
さらに、充電アダプターを試作して充電体勢を整えて、再度BA-225FB/MOSのバッテリーによる動作を試みました。
なお、電源回路のケミコンや高域インピーダンス補正のフィルムコンはそのままにしてあります。
さて、BA-225FB/MOSのサウンドの良さはユーザーの皆さんや評論家の方から、ピュアで色づけなく、かつパワフルなことで高く評価されています。そのうえで、このようにバッテリードライブすると、さりげなくリアル感が増し、明らかに鮮度の良いサウンドで向上していることを認識出来ました。さらにヒアリングしてみるとブログラムソースのおける隠し味的な楽器音やボーカルの息づかいがこれまで以上に聴こえてくるのです。
改善された理由は何でしょうか?
はっきりした答えはだせませんが、推論として、近年、商用電源(100V)の波形のひどさ(サイン波がつぶれている)や、電源を通じて高周波ノイズの混入でその為にアンプの音質が悪化することは常識化しています。
その改善の為に絶縁トランスや高周波フィルターをつけてみたり、簡単なところでは電源ケーブルや電源タップ、壁コンセントまで皆さん苦労してオーディオを楽しんでいます。
そのような楽しみ、苦労を否定するつもりは全くありませんが、バッテリードライブではそのような悪影響はまったくなくなります。電源電流はまったく汚染されない、完全な直流です。だから、清純でリアル感にあわせたサウンドを体験できると推論してます。但し、バッテリードライブが可能なパワーアンプはスモールパワーのアンプしか可能ではありませんが、幸いなことにBA-225FB/MOSは±12V電源で動作します。
さらにブリッジ・バランスアンプですから、16Wのパワーが得られます。16Wというと、真空管アンプであればEL34の3結に相当します。充分な音量を得ることができるといえましょう。(但し、アイドリング電流が多量なAクラスアンプへの応用はバッテリーの蓄電量からして無理なことです。)
写真は試作した充電アダプター(この中にバッテリー内臓)と市販DCアダプター、BA-225FB/MOSの改造試作機を示します。近い将来、製品化する予定ですが、次のバリエーションを考えています。
- アンプ、充電アダプター、DCアダプターの3点セット
(取扱説明書に従って注意して充電して下さい。)
- アンプ及びDC電源接続ケーブル
(充電時、操作時はユーザーの自己責任でお願いします。)
以上について、興味のある方はお問い合わせ下さい。
【補筆】
この充電アダプターの充電方法について説明致します。
- バッテリーの充電電流はバッテリー定格の1/10以下でおこなうと、バッテリーを痛めずロングライフを保つことが出来ますので、この充電アダプターは180mA以下に設定しています。(急速充電はバッテリーの内部抵抗分までは充電できないので、90%
くらいしか、充電出来ませんし、バッテリー電極を傷めやすいです。)ゆっくり、徐々に充電することが出来ます。
- この充電アダプターの仕組みはまず、ごく普通のDCアダプターからDC電圧・電流は安定化電源によってDC10V-15Vに可変設定出来ます。
- 例えばバッテリー電圧が11.5Vに下がったとします。そこで安定化電源のDC出力をバッテリースイッチONにして加えます。このとき、電流計が150-180mAくらいにボリウムを回して設定する事で充電がスタートします。充電電流は充電が進むに連れて充電電流が減少してきます。30mAくらいに減少したら安定化電源スイッチをOFFすると被充電バッテリーの電圧が電圧計に表示されます。バッテリー電圧が12.0くらい回復してもまだ100%充電とはならないので、12.5Vくらいに上昇するまでこの操作を繰り返します。マイナス電源側のバッテリーも極性スイッチを反対にすることによって充電できます。1日2時間くらい聴くとバッテリーは1週間くらいもつので週1回くらい充電いただくとよろしいかと思います。
【最後に】
バッテリードライブをおこなうと、高価な電源ケーブル等のアクセリーとはおさらば!です。その資金はソフト購入やコンサートに行って音楽、オーディオサウンドへの見識を高めて、オーディオグルメになりましょう!
次回は、製品化情報をお伝えします。
BA-225FB/MOS試作アンプ(左)
充電アダプタとDCアダプタ
おそらく、世界初ではないでしょうか?マスターズでは300Bによるプリアンプを製品化しましたが(CA―3000)、今度は300Bを使ってバランス回路によるプリアンプを作ってくれないか?とのカスタム注文を3ヶ月前に受けました。
ご存知のように300Bは直熱管ですので、ヒーター回路はDC点火しなければプリアンプにはヒーターハムノイズの点で、実用になりません。
当然、バランス増幅する事になると、300Bは片チャンネルで2本、ステレオトータルで4本必要なことになります。
となると、プリアンプシャーシはとても大型になってしまいます。
しかし、できるだけコンパクトにすべきと考え、シャーシサイズはCA-3000とほぼ同じサイズに収めることにしました。写真でご覧のように、シャーシ内部は、真空管ヒーター点灯用安定化電源回路等で一杯になりました。
また、できるだけ残留ノイズを下げてプリアンプとして高性能で使えるものとしたいところからマスターボリウムは入力、出力で可変できる方法とすることにしました。
そうなると、ボリウムは4連×2=8連が必要になります。8連ボリウムはまず作られていません。
そこで、東京光音電波に海神無線さんを通じて何とか8連ボリウムを作ってもらうことをお願いしました。
8連Aカーブボリウムとなるとそれぞれのボリウムユニットを8個揃えることになり大変です。待つこと2ヶ月以上、でき上がってきました。このボリウム価格はとても高価となってしまったことはいうまでもありません。
このカスタムボリウムのお陰で、マスターボリウムは-120dB以上まで絞り込む(残留ノイズ実質ゼロ)ことができ、実使用状態においても、プリアンプ自体の残留ノイズは極めて少なく押えられます。
ボリウムインピーダンスは10kΩとしたので出力インピーダンスが大きくなることが防げ、パッシィブ・プリアンプと同じインピーダンスに維持できます。
電源部は別シャーシに納めました。内部をご覧下さい。トランス、チョークとそしてコンデンサで一杯です。電源はB電源、300Bヒーター用電源が4回路必要なので、このトランスで2個、さらに前段用DC点灯ヒータートランスが1個、トータル4個の電源トランスが入っています。これらの電源は、5P、6Pのキャノンケーブルによってプリアンプ本体と接続されるので電源トランスによる誘導ハムは全くなくなります。
さてバランスプリアンプの回路はMT管でありながら大電流ヒーターを持つ5687WAをパラレル接続としてこの出力を300Bにとり込む、2段増幅回路です。NFBは14dBと軽くかけ、ひずみは0.05%以下と真空管プリアンプと言えども半導体プリアンプ並みの電気的性能となりました。この2段増幅回路による仕上りゲインは20dBで、プリアンプとしては4dB程度大きいですが音質の点からこのゲインを最高点と致しました。300Bヒーター回路は安定化電源としたので、規定どおりの5.0Vぴったりとしています。あらためて、300Bは大きい真空管ですが、ヒーター点灯の様子はプレート内に隠れているので外部からは上から眺めないと見えません。4本ともなると、それなりの発熱があります。ともかく壮観です。
大切なことを書き忘れそうでした。バランス構成ですからバランス出力のないCDプレイヤーとかフォノイコライザーを持っていない方にはアンバランス-バランス変換回路を内蔵しています。勿論、真空管回路で構成させています。
さて、肝心なサウンドはどうでしょうか?このプリアンプに対応するアンプはバランスを受け、又はバランス増幅のパワーアンプが必要です。アンバランス(RCAケーブル)出力端子もついていますが、この場合はCA-3000と同じサウンドになるはずです。
音源出版“アナログ”VOL21の記事によれば切れ味がよく明るくパワフルと評価されていました。このバランスプリアンプでは新開発バランス増幅パワーアンプを用意したのでそれでまず聴いてみました。
興味のある方はメール、TEL、FAXにて、問い合わせ下さい。いずれ、製品化する(受注生産)予定ですが、価格は何とか¥30万台に抑えるつもりです。
CA―3000のシャーシに納めることも可能ですが、価格は¥58万程度になります。
その後の感想は次のブログでお知らせします。
完成写真
リア写真
バランスプリの内部
電源部完成写真
電源部リア写真
電源部の内部
MASTERS BA-225FB/MOSシリーズは大変ご好評をいただいております。ありがとうございます。
8月頃、当サイトをご覧になった方からカーオーディオ用に使えないか?とのお問い合わせがありました。
クルマは12Vバッテリー電源なので、上記のアンプのように±2電源で動くアンプには使えません。どうしてもといわれる方は、DC/DCコンバーターを入手されて使う方法があります。また、クルマはエンジンの点火ノイズ等が入力から入り込んでくるので、入力にはグランドを断ち切るインシュレーション回路を挿入する必要があります。
そこで、製作者としては、上記アンプを12Vバッテリー2個使って±12Vで動作させたらどんなことになるかと興味を持ちました。
まずパワーを予測すると、アンプの電源電圧の2乗にアンプ出力は比例するので、±12Vに下がった場合、パワーは25Wから16Wに低下しますが、家庭で聴くレベルとしては少なくともスピーカーの効率が82dB以上あれば充分使えるパワーです。
ALTECやJBLのような高効率スピーカーでしたら、ガンガン鳴らすことができます。さらにホーンドライバーユニットのように110dBくらいの高効率ではパワーは大きすぎる程です。まずは実験が必要と、バッテリーを入手して、電源回路を変更してみました。
パワーを測定してみると確かに16Wくらい出ます。当然、残留ノイズは極限まで下がっています。
ひずみ率もリップル分がゼロなので、さらに良好になりました。パワーは16Wでますがバッテリーの電圧レギュレーションが優れているのでパワーゼロからフルパワーまで電源電圧の変動はほとんどありません。期待に高まるワクワク感をおさえて、バッテリーとアンプを接続しました。動作は正常です。電源ON時のショックノイズもありませんでした。
CDプレーヤーはSONY製バランス出力付のものを、キャノンケーブルで、BA-225FB/MOSのバッテリードライブ機に接続。スピーカーはTANNOY ARDEN(アルニコバージョン)に接続。音源ははじめにジャズボーカルを。はじめの一音が出たとたん、そのフレッシュさに注目です。
ピアノをはじめとするバックにサポートされたフィメールボーカルはこれまで100回以上聴いたものなのに、サウンドが新鮮なのです。
いわゆるレコーディングされ、何の加工もされていないマスターソースサウンドのように聴こえてくるのです。これまでCDというと、何となく感じていた、うすいベール感がありません。
そして、そのサウンドは瑞々しいのです。すっかり気に入ったところ、自己陶酔に陥ってないかを確認する為に、少し落ち着き、10分ほど経過後、今度はクラシック音源としました。ゲルギエフ/マリンスキーオケの“春の祭典”を選びました。
この演奏は昨年の11月に日本で実際に聴いただけに、そのサランドは耳に残っています。スタートからしばらくして、だんだんと楽器が多くなり、ついてグランカッサの一撃でfffに到ります。このフィリプスCDは大変評判の高いものですが、これまで聴いた以上に、コンサートホールでの生々しいサウンドが聴けたのです。それも、ホール前席の、真ん中で聴くような快感でした。
あとは、次々と聴きなれたソースを聴きました。結論として、オーディオアンプは電力をオーディオ信号に応じてスピーカーに供給するキカイであるだけに、電源の質が大切なのです。商用電源から入り込むノイズ、整流時のリップルの存在、電源レギュレーションetcの問題が一切なくなるのです。
さて、マスターズとしてはどうすべきか?とりあえず、BA-225FB/MOSの電源トランス、整流ダイオードを取り除き、外部電源入力をキャノンケーブルで接続する事を考えました。バッテリー、バッテリー充電器は外部とし、これらの選択はお客さんの自己責任において選定し取り扱ってもらうこととしました。
従ってある程度のオーディオとバッテリー知識のある方にこのアンプはおすすめします。興味のある方はお問い合わせ下さい。
さて、このような経済危機にあって、マスターズでは材料費アップのなかにおいても、できるだけプライスセーブに徹することに努力しています。定価は何とか¥11万をきりたいと奮闘中です。ご期待下さい!!