2009年も、さわやかな5月を迎えました。過ごしやすい季節とは反対に、経済不況の嵐は強烈です。何とか生活に影響を与えない範囲で、大好きなオーディオに少しは浸り、人生を明るくすべきと思っております。プラス思考でいきましょう。
MASTERSブランドでは、お客様のカスタムにお応えする製品作りもおこなっております。
昨年末、熱心なWさんからのリクエストで、BA225FB/MOSをベースにしたモノラルパワーアンプの製作依頼がありました。外観もすてきなにして欲しいとのことでした。
SANSUI AU-607の工業デザインを担当した大友氏に相談したところ、何とかやってみようということになりました。2台きりなので、フロントパネルはアクリル削り出し、レーザー加工の特注品となりました。
また、つまみも、市販品では合うものがないので、これも大友氏のデザインによるアクリル削り出しです。(つまみの特注は大変で、アルミ削り出しですと、100個以上でも、@¥5,000以上となる場合が多いのです。1000個以上オーダーすれば、数百円には落ちますが、・・・。)
ブラックにレッドラインが入って、セクシーな魅力があります。
さて、アンプの内容は、MOSFETによるフルバランス増幅構成で、電源トランスは通常の2倍のものを搭載しています。従って、パワーは30W近く出ます。
勿論、バランス入力、RCA入力に対応します。
更に、このアンプのリクエストは、当社で販売しているバイファイラー巻きのマッチングトランスを内蔵して、ローノイズと細やかなサウンドを聴けるようにスイッチ切換をできるようにしたいとのことです。元々、50μVの残留ノイズが更に1/3に下がります。パワーは3Wに下がりますが、通常の使い方ですと、問題ないパワーです。
さて、ここまでのカスタムで、外観は写真に示すように横型で格好の良いフォルムです。アンプ内にマッチングトランスが内蔵されています。
肝心のサウンドですが、パワフルで、繊細、分解能が素晴らしく、奥行き感等の再現能力はいうことなしです。加えて、マッチングトランスを通すと、浸透的なサウンドとなり、弦楽器に細やかさが更に良く認識できる感じになります。
Wさんの最後のリクエストは凄いもので、更にバッテリドライブにも対応して欲しいというものです。これは、まだ作ったことがなく、検討・実験を続けていましたが、この度、実用の形となりました。DC電源は外部からのバッテリーになります。
バッテリですと、電源電圧が±12Vに落ち、パワーが下がります。しかし、電源変動がまずないので、びくともしない電源となります。それに、商用電源からの高周波のノイズ、整流によるわずかなリップル分も皆無になるので、“本当に透明で、汚れのない”と表現するのが相応しいサウンドに浸れます。但し、バッテリと充電器の購入が別途必要で、バッテリー電圧は動作後にはチェックし、次の使用に備えて充電作業が必要です。(20時間程度は連続使用できるでしょう。)
さて、この、カスタムアンプのモデル名はBA-999FB/MOSMと名付けました。スリーナインは、私が1969年にSANSUIに入社したとき、スピーカー設計に使用した思い出のAU-999からとったものです。
ご好評を頂ければ、このシリーズの製品化も思案中です。このカスタムアンプの製作には、3ヶ月以上の納期をいただくことになってしまいましたが、やっと、嫁入りになりました。
<2009年5月5日追記>
このアンプのカスタマイズをご希望の方へ
このモノラルアンプをステレオ仕様にして、製作することも可能です。その場合のパワーは28W+28W程度となります。
アクリルフロントパネルは高価ですので、価格をセーブしたい方には、スチール製のパネルを検討中です。
マッチングトランスの削除も可能です。その分、お安くできます。
興味をもたれた方は是非お問い合せください。
年明けを過ぎてから、不況ゆえに、多忙となってしまい、仕事に追われてブログ更新が遅れてしまいました。
昨年、秋頃、STAXイヤースピーカ(SP)のユーザーである熱心な若者の方(以下、“若者さん”と書きます)から、STAXイヤーSP用のカスタムアンプ製作の依頼を受けました。何回かのメールのやりとりで、以下のような盛りだくさんの内容を盛り込んで、製作することにしました。
- EL34(6CA7)真空管を使って、高音質専用アンプを作る。
- EL34は4本使用して、勿論、バランス増幅とする。
- EL34ドライブには12FQ7をパラ接続して強力にドライブする。
- S/N比、残留ノイズ、高音質の考慮から、前段はAD845(100V/μsのハイスルーレート高性能OPアンプ)を4個採用する。
- バイアス電圧200V-630Vまで連続可変出来るようにする。また、バイアス電圧を電圧計でモニターできるようにする。
- 入力はバランス、RCA入力と切り替えて使用出来るようにする。
通常業務の間を縫って、予備検討をしながら、製作しておりましたが、昨年末には、完成できず、ついに越年になってしまいました。
やっと、1月末に、やっと完成しました。写真をご覧下さい。
しかし、このようなユニークなカスタム品ものは、そのままではうまく行くはずもなく、アンプは若者さんとの間を何度か往復し、チューニングを重ねて、完成の域に達しました。
若者さんからの感想ですと、芳醇でリッチサウンドとのことです。わたしも若いときからSTAX製品愛用者で、また、STAXの社長さんとは、かつて、仕事を一緒にやった仲でもあるので、特別な親しみがあります。
私なりに、評価してみました。
- 残留ノイズは非常に少なく、聴き取れないレベルです。
- 電気的性能は、充分に達成出来ました。
- バイアス電圧可変は、イヤーSPのダイヤフラムの静電張力が変化するので、音圧もわずかに変化するなかで、音質は、ゆったりした音質(低電圧時)になり、電圧を上げていくと、緊張感ある、しまったサウンドとなります。STAXさんでは580V固定としてあるので、この使い方はユーザーさんの自己責任になりますが、高電圧バイアス印加を長時間加えない限り、問題はなさそうに思えます。
- アンプ全体はBA―225FB/MOSをベースにしましたが、入りきらず、奥行きの長いかたちとなりました。
- サウンドは、既定バイアス電圧で聴くと、アタック感が良好で、かつ、真空管アンプ独特の包み込まれるような温かみも感じられます。
このような、カスタムアンプに興味ある方がおられましたら、どうぞ、ご一報下さい。なお、このカスタムアンプの製作にあたってはSTAXさんからのソケット供給を受け、かつ、イヤーSPの構造、性能については、STAX社長さんから、適切なアドバイスを受けたことを感謝しております。
2009年も明け、経済・金融不安があたまを過ぎるところですが、皆さん!心配しても人生!やることはやって、人生の活力を養うほうが、賢明と思います。良き時間を過ごしましょう。
昨日、BA-225FB/MOSjを中心に、さらにカスタム低音用アンプを加えたチェンネルアンプシステムで、すばらしいサウンドを実現している山梨のF・Sさん宅を訪問して参りました。
F・Sさんは、オーディオ30年以上のベテランで、これまでにいろいろなシステムを遍歴され、体験を重ねてこられた方です。昨年初頭、上記アンプで、アンプを構成しましたが、昨秋、低音用アンプを除いて、バッテリードライブに改造いたしました。
写真でご覧になっていただくと、低音用はカスタム25W(8Ω)アンプですが、TAD40cmウーファユニットが2本パラレルなので、4Ωで35Wくらいのパワーです。
ミッドレンジはゴトーの2インチドライバーによるホーンシステムです。110dBを超える高効率なので、BA-225FB/MOSJのパワーで充分で、かつ、残留ノイズを改善させるために、バイファイラ巻きのマッチングトランスでドラーバーユニットと接続されています。元々、超ローノイズアンプなので、ノイズは全く聴こえません。
ハイレンジ用アンプも同じ仕様でマッチングトランス付きで使用されています。
ハイレンジSPユニットはTADのベリリウム・ダイアフラム・ドライバによるウッドホーンに、LCネットワークでスーパーツイータを付加させています。
あと、4WAYにできるように、もう1台、BA-225FB/MOSjが用意されていますが、チャンネルデバイダの不具合で、今後の方法をどうするか、楽しく思案しているそうです。
これまで、AC電源においてもすばらしく、スケールあるサウンドでしたが、特に、チェンネルアンプシステムにありがちな定位の不明瞭さや、ボーカルのお口が大きくなってしまうような事象は一切ありません。これが、海外製デジタルデバイダ兼サウンドバランス・プロセッサの威力にあることは間違いないところです。見事なサウンドバランスと自然な音場バランスが展開します。
更に、今回は、ウーファアンプを除いて、アンプのバッテリ電源ドライブ化に踏み切り、その成果が期待されていました。バッテリ電源化により、その電源電圧から、パワーは8Wと少し下がりますが、元々、高能率のドライバですから、パワー不足の心配はありませんし、ゲインは当然、変わりません。
さて、肝心のサウンドですが、最初にゲルギエフ指揮、キーロフ歌劇場管弦楽団の“春の祭典”を聴かせて貰いました。この演奏は1昨年11月に実際のコンサートホールで聴いただけに、鮮明にその記憶が残っています。
冒頭の木管から始まり、段々と楽器が重なってきます。定位明確、目も覚めるような清純で、クリア、分解能がすばらしく、混濁することがありません。そして、切れ味も素晴らしいです。そして、グランカッサの一撃、凄い迫力、さらに、全奏が加わり、サウンドがリスリングルームに充満します。大げさではなく、コンサートホールでは聴けないような、サウンドまでが、バランスの良い音場ともに、心地よい興奮を呼び覚まします。
それから、持参したCDやら、F・Sさんの用意したCDを次から次へと聴き、あっと言う間に4時間が過ぎました。
今後、ウーファ用アンプもバッテリー電源ドライブ化する計画とのことなので、さらに楽しみです。この写真は同席したF・Sさんの盟友F・Mさんの撮影によるものです。
なお、F・Sさんは、シールドバッテリ(20A/H)を2個(@¥8,000)購入し、ハイテクのお任せ充電器(¥53,000)を据付、安定充電で、バッテリーの健康体を保っています。
F・Sさんのサウンドをお聴きになりたい方はイシノラボ/マスターズ店長まで、ご希望をお寄せ下さい。F・Sさんのスケジュールがいただければ、聴かせていただけると思います。
また、バッテリー電源でのマスターズアンプに興味ある方もお問い合わせ下さい。充電方法・充電器・充電切換スイッチ等の関連のご相談もお受けいたします。